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中国「一帶一路」の関門で米国が武力示威…南沙諸島人工島の12海里に侵入

登録:2015-10-28 00:05 修正:2015-10-28 06:50
米国「人工島は中国領海でなく国際法上適法」 
中国「軽挙妄動するな…故意の挑発には断固対応」
スプラトリー諸島(南沙諸島)のファイアリー・クロス礁(永暑礁)の中国浚渫船。米海軍海上哨戒機P8Aポセイドンが撮影した写真//ハンギョレ新聞社

 米海軍の駆逐艦が27日、中国が自国領土と主張する南シナ海の人工島の12海里(22キロメートル)内に進入する作戦を展開し、中国はこれに強く反発した。 米中関係が最悪になった2010年の軋轢が再現されるのではという憂慮をもたらしている。

 バラク・オバマ米国大統領が16日、朴槿恵(パク・クネ)大統領との首脳会談後に南シナ海問題に対する韓国の明確な態度を要求したことがあり、米中間の軋轢が深刻化される場合、韓国外交も再び難しい試練に立たされるものと予想される。

 米国のマスコミは米国防省当局者の話を引用して、誘導ミサイルを装着した駆逐艦ラッセンがこの日午前、南シナ海のスビ環礁(中国名:渚碧礁)12海里内を数時間航海したと報道した。 ロイター通信は米海軍の対潜哨戒機P-8AとP-3が駆逐艦を護衛したと伝えた。 また、オバマ大統領が今回の作戦を承認し、米国は強力な抗議のメッセージを伝える趣旨で中国にこれを事前通報しなかった。

 中国は南シナ海を航行する漁船や貨物船などの通行保護を名分に、2013年末からスビ環礁とミスチーフ環礁に滑走路や幕舎、灯台など構造物を作り始めた。 米国はこれを軍事用と見ている。 中国が人工島を作り始めて以後、米国の軍艦が近海に進入したのは今回が初めてだ。

 南シナ海の領土問題を自国の核心利益と主張してきた中国は、米国の今回の武力示威を強く非難した。 王毅・中国外交部長は27日、北京で開かれた韓日中研究討論会に参加し関連質問に対して「軽挙妄動せずに公然と平地風波を起こさないことを望む」として強いトーンで米国を非難した。陸慷・中国外交部報道官はこの日「中国は米軍の駆逐艦を監視・追跡し警告した」として「いかなる国家の故意的な挑発に対しても断固として対応する」と話した。

 中国の領有権主張に対して米国は、表面的には国際法的根拠を突きつけてこれを認めないとしている。 国際法的に上げ潮で海中に没する島は領土として認定しないが、中国が干拓工事を行い意図的に人工島を作ったということだ。 人工島の周辺は中国の領海ではないので航行の自由を享受できるというのが米国の論理だ。

 しかし、実質的には南シナ海の制海権を巡る米中間の力比べが背景にある。旧ソ連崩壊以後、米国は南シナ海で軍艦であれ潜水艦であれ何の制止も受けずに航行の自由を享受してきた。 だが、中国の立場としても経済規模と軍事力が大きくなり米国の封鎖に備えて商業的・軍事的海路の確保が重要になり、これに伴い米国の偵察機や潜水艦を南シナ海の外側に押し出し影響圏を確保す必要があった。 南シナ海問題が中国と領有権紛争を行っているベトナム、フィリピンはもちろん韓国、日本、インドなどアジアの相当数の国家の経済的・軍事的利害関係と直結しているという点で、まさにアジアの覇権を巡る米中間競争の性格を帯びている。

 このような脈絡から考えると、南シナ海を巡る米中間の軋轢は悪化する可能性が高い。 米国防総省の官吏たちも今回の作戦が一回きりのものではないことを強調しており、中国も当面軍事的対応をすることはないだろうが、人工島の構築と軍事力強化を急ぐものと予想される。

ワシントン、北京/イ・ヨンイン、ソン・ヨンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/714754.html 韓国語原文入力:2015-10-27 20:07
訳J.S(1553字)

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