登録 : 2015.09.09 00:06 修正 : 2015.09.09 11:04

 韓国在住の原爆被害者
 45年の法廷闘争の末、“差別”にピリオド
 約2500人が対象になる見込み
 孫振斗氏などの闘争で公論化
 治療費の上限定めた最後の差別
 今回の判決で消える

日本政府に韓国に住む原爆被害者にも治療費を全額支給させる最高裁判決が下された直後、東京・霞ケ関の司法記者クラブで原爆被害者を支援してきた団体と担当弁護士が記者会見をしている。会見場には左から原爆被害者であるホン・ヒョンさん(69)、故カン・ジョムギョンさん(2010年7月死亡)、故イ・グンモクさん(2011年7月死亡)の写真が用意された。イさんは訴訟が進むなかで亡くなり、カンさんは死後に遺族が訴訟を提起した=東京/聯合ニュース
 「上告を棄却する」

 8日午後3時、日本の最高裁判所の法廷。韓国の原爆被害者らが45年間待ち続けた判決結果を知らせる岡部喜代子・最高裁判事の宣告は、たった一行の文章だった。傍聴席で見守っていた日本の支援団体の市民たちが小さく拍手をしながら歓声を上げたが、「速やかに退廷してください」という裁判所職員の声に押され、法定から追い出されてしまった。韓国人原爆被害者たちが数十年間流してきた汗を考えると、虚しく感じられるほどだった。

 最高裁判所は同日、韓国人原爆被害者イ・ホンヒョン氏(69)と被害者遺族など3人が、日本に住んでいないという理由で治療費を全額支給しないのは不当だとして、大阪府を相手に提起した訴訟で、治療費を全額支給することを命じる判決を確定した。大阪高等裁判所は、昨年6月にイ氏などの主張を認めたが、大阪府はこれに反発して上告した。

 今回の判決の結果は、1970年12月、孫振斗氏(ソン・ジンドゥ、2014年死亡)の密航闘争で始まった韓国人原爆被害者の45年間にわたる闘争が、ついに幕を下ろしたという歴史的な意味を持つ。

 1945年8月、広島と長崎に原爆を投下された日本は、1957年3月に被爆者の治療を支援するための「原子爆弾被害者の医療等に関する法律」を制定する。同法には治療対象を日本人に限定するという「国籍条項」はなかったが、支援の範囲を「日本に住んでいる人々」に限定し、事実上韓国人など外国人を排除した。

 原爆の後遺症に苦しんでいた孫氏は、この法律の適用を受けるために、1970年に日本に密航する決断を下した。「孫振斗闘争」を通じて、戦後20年間、世界の「唯一の被爆国」という被害者意識の中で生きてきた日本社会は、同じ被害を受けたにもかかわらず、治療を受けられない韓国人など外国人被爆者という“他者”を初めて認識するようになる。以後孫氏は、6年にわたる長い法廷闘争の末、1978年3月、日本の最高裁判所から貴重な勝訴判決を勝ち取った。

 孫振斗闘争以降、韓国人(北朝鮮人)被曝問題は、日本社会の重要な話題として浮上した。韓日両国は、1980年から1986年まで、韓国人原爆被害者らの日本訪問治療事業など、問題を解決するために様々な努力を重ねてきた。しかし、韓国人被爆者たちは、日本に居住する被爆者と同じ治療を受けられるようになるまで戦うべきだとして、闘争を続けた。この過程で、1990年イ・メンヒ氏のように、日本政府に抗議して自殺を図った被爆者もいた。

 闘争の大きな転換点となったのは、1998年10月に始まった「クァク・ギフン裁判」だった。この裁判で2003年、「日本国外に居住地を移した場合にその受給権を失う」旨の規定が盛り込まれた厚生労働省の「402号通達」が廃止される。以来、韓日関係の発展と被害者たちの闘争で2008年には被爆者援護法が改正され、韓国でも被爆者手帳を交付してもらえるようになった。そうして残った唯一の差別は日本在住被爆者とは違って、1年に30万円と定められていた治療費の上限だった。その制限が、今回消えたのだ。しかし、原爆被害者2世の被害認定と支援の問題はまだ残されている。

 長い間、韓国人被爆者問題の解決のために努めてきた市場淳子「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」代表は判決直後、ハンギョレと会って「本当にうれしい判決だが、これまであまりにも多くの被害者が死亡してしまった。日本政府は裁判で負けない限り、一歩も譲らなかった」と述べた。日本の厚生労働省の資料によると、3月の末基準で、日本国外に住んでいる被爆者手帳の所持者は約4300人で、このうち韓国居住者は約2500人(北朝鮮居住者1人)だ。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-08 20:25

http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/708021.html 訳H.J

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