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安倍談話、植民地支配への具体的な謝罪なし

登録:2015-08-14 21:54 修正:2015-08-15 07:20
 敗戦70年迎え「歴代内閣がおわびの気持ちを表明してきた」と過去形のおわび
 慰安婦関連「傷つけられた女性たちがいた」と間接的な言及に留まる
 「日露戦争は植民地支配のもとにあったアジアの人々を勇気づけた」との主張も
安倍晋三首相が日本の第二次世界大戦敗戦70周年を翌日に控えた14日午後、東京の首相官邸で「安倍談話」を発表している=東京/ AP連合ニュース

 安倍晋三首相が日本の敗戦70年を迎え、「安倍談話」を発表した。韓国や中国などとの外交関係、国内世論などを考慮し、村山談話(1995年)の主要な文言をすべて盛り込んだが、韓国が要求してきた「植民地支配に対する謝罪と反省」を直接言及せずに、“過去形の謝罪”にとどまった残念な内容だった。

 安倍首相は14日午後、特別閣議を開き、談話の内容を閣議決定した後、この内容を20分間に渡って朗読した。まず、韓国や中国などが注目してきた「謝罪と反省」という用語については、「わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきた。その思いを実際の行動で示すため、東南アジアの国々、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきた」と言及した。続いて、「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものである」ことを明らかにした。

 韓国や中国などとの関係を念頭に置き、村山談話や河野談話など、歴代政権の過去の歴史に関連した談話を否定しない意向を明らかにしたものだが、自ら公式に謝罪することなく、歴代政府の活動に言及することで、謝罪と反省を間接的に言及するのにとどまった。慰安婦問題については、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはならない」と間接的な形で2度にわたって言及した。

 これに対して、第1野党の民主党の岡田克也代表は「やはり(村山談話の主要な表現が)引用という形で盛り込まれている。安倍首相自身の表現ではない」と批判した。 AP通信も「安倍首相は過去の謝罪に言及したが、自ら公式に謝罪しなかった」と評価した。村山談話の主要な表現(植民地時代、侵略、おわび、反省)をすべて盛り込んだが、日本を植民地支配と侵略の主体として明示していなかった。村山談話の歴史認識から大幅に後退したものと評価できる。

 安倍首相はこの日、“やむを得ず”おわびを表明したが、韓国にとって受け入れがたいのは、植民地支配と侵略の部分だ。談話は、日本による朝鮮併合と植民地支配という加害の歴史について直接的な謝罪と反省を示す代わりに、「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」という言及にとどまった。それとともに「露日戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」とし、露日戦争を美化する表現を盛り込んだ。露日戦争の結果として、日本の植民地に転落してしまった韓国の立場からは容認し難い歴史認識だ。

 (植民地支配と侵略が抜けた)穴を埋めたのは、安倍首相特有の歴史修正主義だった。彼は日本が戦争を起こした過程について言及し、「世界恐慌が発生し、日本経済は大きな打撃を受けた。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みた。そのため満州事変などを起こした」と指摘した。 1931年満州事変以降、日本が戦争に突き進む過程に対する反省はあるが、その前に行われた朝鮮併合と植民地支配は、暗に肯定しているわけだ。安倍首相は「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えている」とし、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-14 20:35

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/704541.html  訳H.J

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