本文に移動

河野元長官と村山元首相、慰安婦強制動員を否定する安倍首相を批判

登録:2015-06-10 00:49 修正:2015-06-10 08:53
 日本記者クラブで対談
 村山元首相「日本の侵略・植民地支配は事実」
 河野元長官「贖罪の気持ちを表すことを考えるべき」
 二つの談話を否定しようとする流れに懸念示す
9日、東京千代田区の日本記者クラブで河野洋平元官房長官(左)と一緒に対談をした村山富市元首相(右)が記者の質問に答えている=東京/ AFP連合ニュース

 「村山談話は日本が再び過去と同じ過ちを犯さないようにするため出されたものだ」(村山元首相)

 「河野談話に書かれたのは明確に確認されたものだけだ。慰安婦に強制性があったと考えるのは当然だ」(河野元官房長官)

 日本政府の歴史認識を示した二つの重要な談話である「村山談話」(1995年)を出した村山富市元首相(91)と「河野談話」(1993年)を出した河野洋平元官房長官(78)が、韓日国交正常化50周年を控えた9日、同じ席についた。

 二人はこの日、東京・千代田区の日本記者クラブで開かれた対談で、安倍晋三首相が主導する歴史修正主義の流れの中で再び注目されている両談話に対する考え、韓中などとの関係、集団的自衛権行使を骨格とした日本の安保法制改正など、様々な懸案に対し幅広い意見を交わした。

 この席で河野元官房長官は「慰安婦女性たちが軍が作った施設で総じて本人の意志に反して強制的に働かされ、嫌だといって帰郷したりやめることができなかった以上、強制性があったと考えるのが当然だ。インドネシアであったオランダ女性の場合、強制的に連れ出し慰安婦にさせるなど強制連行も確認される」と述べた。

 村山元首相は8月に安倍首相が発表する予定の「安倍談話」を念頭に、「安倍首相が最近語っているように(以前の)談話を継承するなら、戦後70年談話に(その意志を)率直かつ明確に明記し、国際的な疑問と誤解を解消しなければならない」と指摘した。河野元官房長官は「(終戦) 70年だからと特別に談話を出す必要はない。それよりは戦後70年に合わせ、すべての国民と天皇も訪ねることができる(靖国神社に変わる)国立追悼施設を作ってみてはどうか」とも語った。

 1時間半にわたる対談が終わると司会者が、村山富市元首相と河野洋平元官房長官が残した書を参加者に紹介した。日本記者クラブは記者会見をした講演者に自分の人生哲学が込められた書に署名をしてもらい保管する伝統がある。この日、河野元長官は「真実」と、村山元首相は「思無邪」と書いた。村山元首相は「邪なことを考えないのも、結局は真実と同じこと」だと話しながら笑った。

 村山元首相と河野元長官は、革新と保守で政治哲学こそ異なるが、極端に偏らない穏健な思想を持つ政治家として、戦後日本の政治をリードした。だからこそ両政治家は、慰安婦動員の過程の強制性を認めた1993年の河野談話、日本が過去に犯した侵略と植民地支配を謝罪し反省した1995年の村山談話という歴史的な成果を出すことができた。河野元長官は、1994年6月、当時社会党の村山議員を首相に擁立し、「自社さ連合」を結成するのに主導的な役割を果たした。

 河野元長官は「真実」という文字を前にして、現在の日本の一部で起きている流れについて、心を決めたかのように、重い口を開いた。彼は河野談話を否定しようとする日本社会の一部の流れについて「中国、韓国との関係でも、謝罪する、しないではなく、事実、真実を認めることから始めなければならない。日本では、女性がどのような方法で募集されたのかというごく一部分のみに焦点を合わせて、政府や軍が直接強制連行したのでなければ、問題にならないという主張が出ている。このような議論がいかに日本の名誉を傷つけるのかを考えなければならない。この点については非常に残念だ」と述べた。

 彼らが懸念しているのは、すでに発表されてから20年が過ぎた二つの談話が再び注目を集めている現実だった。村山元首相は「安倍首相が政権を握ってから、談話に注目が集まっている。このようなことが起きるとは夢にも思わなかった。しかし、過去の歴史をもう一度考えさせられるという意味では良い機会」だと述べた。彼は、また、現在の安倍首相が直接的な言及を避けている「侵略」という表現についても、「日本が中国を侵略し、朝鮮を植民地支配したのは事実だから、これを使ったのだ。これは、(当時の自民党を含む)すべての閣僚の全員一致の同意を得て、閣議決定されたもの」だと指摘した。

 対談の焦点は韓日間の最大の外交懸案になった慰安婦問題にも定められた。河野元長官は「(日本政府が慰安婦問題の解決のために1995年に出した)アジア女性基金は解散されたが、失敗だとは思っていない。多くの苦痛を味わった方たちが次々と亡くなっているが、生存者の方々に(日本が)贖罪の気持ちを表すとともに、力になれるようなことをいかに実行できるか、日韓双方が一緒に考えて可能な実施案を作ってほしい」と述べた。村山元首相も「慰安婦問題は、やはり日本が(韓国と)首脳会談を開いて何とか解決してほしい。慰安婦問題が解決されたら、(韓日間に)大きな問題はない。(1990年代にも村山談話などが発表されてから)1998年、金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の韓日パートナーシップ宣言が出て、両国関係が大きく改善された」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-09 20:26

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/695219.html  訳H.J

関連記事