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訪韓した大江健三郎氏「日本は戦争の反省を通じ新しい現実を作る想像力を持つべき」

登録:2015-03-12 23:51 修正:2015-03-13 11:51
 世界未来フォーラムに参加した大江氏
 安倍首相の過去の歴史否定を強く批判
小説家の大江健三郎氏 キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 「安倍晋三首相は、日本の酷い過去を否定している。日本は戦争への深い反省を通じて新しい現実を作っていく想像力を持たなければならない」

 12日、延世大学と金大中(キム・デジュン)図書館が、学校創立130周年を記念して白楊コンサートホールで開いた「延世・金大中世界未来フォーラム」に出席した小説家の大江健三郎氏(81・写真)は、安倍首相など日本の政治指導者たちの過去に対する否定行為を強く批判した。彼は「人間の感性の未来」と題した基調講演で、「現実の社会問題を解決する上で、想像力だけでは不可能だというが、私は想像力こそ現実と強く結びついていると思う」と訴えた。 1994年にノーベル文学賞を受賞した彼はイ・ヒホ金大中平和センター理事長の要請で韓国を訪れた。

 大江氏は「私は戦後世代として10〜20歳のときに戦争後の新しい社会を想像する中で、私の仕事に関連するすべての感受性を育んだ。一方、安倍首相はその時期を最も思い浮かべたくない、恥ずかしい時代だと思っているようだ。安倍首相は第2次大戦を経験しなかったし、その時日本がいかに恐ろしい犯罪を犯したのかについて、想像もできないようだ」と安倍政権に照準を合わせた。 「安倍首相は戦後10年の間、日本社会が民主的で人間的なもののために努力したことをすべて否定した上で、新しい時代を作ろうとしている」と診断した彼は、「より大きな問題は、日本人の半分以上がこのような政権に賛成票を投じていること」にあるとし、安倍首相を支持する日本社会の雰囲気についても懸念を示した。さらに「日本がアジアに対して、特に朝鮮半島、韓国国民にいかに大きな犯罪を犯したか。私は日本がこれに対して十分に謝罪したとは思わない」と述べた。

 1958年に登壇した大江健三郎氏は、日本の戦後世代を代表する作家であり、平和主義者だ。 1994年『万延元年のフットボール』でノーベル文学賞を受賞した彼は、2011年の東日本大震災の事故後、原発反対と安倍政権の軍事主義化について継続的に問題を提起してきた。

 最近になり健康が良くなかったという彼は、「私は韓国の年齢で81歳、すでに(満)80歳を超えた」とし「これから私たちの未来はそれぞれ個人の感覚を新たに作っていくことにかかっている。そう呼びかけて、私はこれから死んでいくだろう。世の中に貢献することができる、将来世代の人間として、感性と感受性を結びつけると、より明確な知恵の指針を得られるだろうと期待している」と述べた。

イ・ユジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.12 20:11

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/682048.html  訳H.J

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