CIAなど16の情報機関を指揮する国家情報局局長
オバマ大統領に毎朝「日例情報報告」
クラッパー カードは北朝鮮と米国双方に実利と名分を提供
北朝鮮での米国人抑留者釈放のための特使は、これまで主にジミー・カーター、ビル・クリントンなど元大統領が務めてきた。北朝鮮が最高指導者による赦免権を行使するためには、それに相応しい国家元首級が来なければならないと主張したためだ。 北朝鮮は元職とはいえ米国の大統領が謝罪するために北朝鮮を訪問することを対内広報用にも活用してきた。
しかし今回は、ジェームズ・クラッパー国家情報局長(DNI)がその役を担った。“クラッパー カード”は北朝鮮と米国の双方に実利と名分を与えたと分析される。
まず、米国側は元大統領を避けることにより北朝鮮の政治利用を防げた。また、対北朝鮮政策を担当する国務・国防長官を派遣すれば政策基調が変わるかもしれないというメッセージと思われかねない反面、クラッパー局長は情報を担当するだけあって北朝鮮の懸案を熟知しており、なおかつこうした懸念が比較的少ない。米国は現在、北朝鮮の核・ミサイル プログラムの進展程度を明確に把握できていないが、クラッパー局長が北朝鮮の高位級官僚との面談で有用な情報を持ち帰ることもできる。
一方、北朝鮮側は元大統領という象徴性には劣るが、むしろオバマ政権では元大統領よりはるかに影響力が強い情報機関の最高責任者を呼び入れたという実利を得ることになった。 クラッパー局長は中央情報局(CIA)や国防情報局(DIA)など16の情報機関を総括指揮していて、オバマ大統領に毎朝情報報告を行う人物だ。 北朝鮮関連情報も彼が最終判断をする位置にある。 ワシントンの消息筋は「クラッパー局長はオバマ大統領に直接北朝鮮の状況と関連した助言ができる最高位人物」と話した。
クラッパー カードが選択されたのは、米国が元大統領を特使として送りたくとも送りにくい現実的事情も作用した。 カーター元大統領は抑留者釈放の他に平和交渉のメッセンジャー資格が付与されれば行けるという態度を示したと伝えられた。 クリントン元大統領は妻のヒラリー・クリントン前国務長官の大統領選挙出馬を控えているため、イメージ管理が必要な時点だ。 ジョージ・ブッシュ元大統領は在任時期に北朝鮮との関係が極めて悪く議論の対象から除外される。