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「私たちがまともに人間扱いされているか、常に疑問」

登録:2014-04-30 22:04 修正:2014-09-05 14:26
チョン・ジヨン監督、東京で‘南営洞(ナミョンドン)’の上映後、観客たちと対話
チョン・ジヨン監督

拷問シーンに日本人観客たち衝撃
チョン監督、市民の主体意識を強調
"目を大きく開けて、政治家を監視しなければ"

"皆さん、くたびれたでしょう。疲れさして申し訳ありません。" 去る28日夜、東京 渋谷の小劇場‘アップリンク’は深い静寂の中に浸った。 故キム・グンテ前保健福祉部長官が、治安本部南営洞(ナミョンドン)対共分室で22日間にわたり受けた拷問を土台にした映画<南営洞(ナミョンドン)1985>(2012年作品)の上映が終わった瞬間だった。 映画が上映される間、日本人観客たちは凄惨な拷問に崩れていく主人公の姿を見て涙ぐみ、時には悲鳴をあげた。 チョン・ジヨン(68・写真)監督はその後に行われた日本人観客との対話の場で、残酷な拷問シーンに衝撃を受けた方を慰労し、対話を始めた。

 ‘ヨン様’と東方神起の人気も弱まって、韓-日関係がこれまでになく冷え込んだ今日、‘韓流’とは両国市民にとってどんな意味だろうか。 この間パルチザン(<南部軍>・1990年)とベトナム戦争(<白い戦争(邦題:ホワイトバッジ)>・1993年)等、韓国現代史の主な屈曲を正面から凝視してきたチョン監督が観客に強調したことは市民の‘主体意識’だった。

 彼は「87年6・10抗争以前には自身が国の主人だということを知らなかった韓国の市民が国家を相手に勝利した後に主人であることを悟ったようだ」として「そのおかげで国民の力を信じて<南部軍>を作ることができた」と話した。 当時、主演俳優アン・ソンギ氏が凍った河に3回も入らなければならなかった理由など、映画製作のエピソードを紹介するとあちこちで笑いが漏れ出た。

 話題は92年の東京国際映画祭で最優秀作品賞・監督賞を受賞した<白い戦争>につながった。 彼は「それまで韓国人は、私たちがベトナム戦に参戦したのはベトナム人の自由と平和のためだと認識していた。 しかし、これは誰にも分かる嘘」と話した。 彼は「(若い世代に)偽りの歴史を教えることはあってはならないという気持ちで映画を作った。 そのような意味で愛国をしたと考えるが、多くの人々から‘なぜ韓国の悲しい部分を掘り起こして映画を作るのか’という非難も浴びた」と話した。

 ある日本人観客は彼に 「このように実話を扱うのは、民主主義が危機を迎えている現実に対する使命感のためか」と尋ねた。 これに対しチョン監督は「政治・社会的な問題に関心を持つことになるのは、私たちがまともに人間扱いされているかとの疑問を持ち続けているため」として 「私たちを破壊する制度、システム、権力などを暴いて告発したい、そのような気持ちがある」と話した。 彼は続けて「民主主義は政治家たちによって常に脅威を受ける。彼らは民主主義を破壊しても自分たちの権力を維持しようとする。 だから国民は目を真っすぐに開いて彼らを監視しなければならない」という言葉で対話を終えた。

 安倍政権の歴史修正主義と、‘セウォル号事件’で確認された朴槿恵(パク・クネ)政権の無能など、韓国・日本両国で市民連帯の重要性が大きくなる理由だ。

東京/文・写真キル・ユンヒョン特派員 charisma@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/635213.html 韓国語原文入力:2014/04/30 21:17
訳J.S(1487字)

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