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チョン・ジヨン監督 "映画の途中で辛くて出て行く観客が出るかも…"

原文入力:2012/08/13 20:58(2081字)

チョン・ジヨン監督‘南営洞(ナミョンドン)’を語る
"‘キム・グンテ拷問’映画を作った理由? 軍事独裁のおぞましさを見せるため"
"映画の90%は対共分室が背景
拷問の魂破壊を伝えたくて
大統領選挙前に封切り…犠牲を省みよう"

"この映画を観ることがあまりに辛くて途中で出て行く観客が出るかも知れない" と心配した。 映画場面の90%が電気拷問・水拷問が強行された旧‘南営洞治安本部対共分室515号’という空間で繰り広げられる。 このように拷問自体だけを扱った映画は外国でも探すのが難しい。 チョン・ジヨン(66)映画監督は 「拷問場面を撮りながら、自分が拷問されるようだったが、実際の拷問被害者はどれほど苦痛だったか」として「拷問が人間の魂をどのように破壊するのか、そのおぞましさを観客の皮膚にまで伝えたかった」と語った。

 15日まで開かれる第8回提川(チェチョン)国際音楽映画祭審査委員長であるチョン監督と去る11日、忠北(チュンブク)、提川市(チェチョンシ)のあるカフェで向かい合って座った。 去る4月から1ヶ月間、映画<南営洞>を "外部に知らせずに静かに" 撮影していたという彼は「大統領選挙前である11月に封切りするため今月末までに後半作業を終える予定」と話した。

 <南営洞>は今年初め、司法府と既得権勢力の非常識を告発した<折れた矢>で観客342万人を集めたチョン監督の新作だ。 故キム・グンテ民主統合党常任顧問が1985年9月南営洞対共分室で22日間にわたり拷問された内容を書いた自伝手記<南営洞>をスクリーンに移した。 <折れた矢>で弁護士として出てきた俳優パク・ウォンサン氏がキム・グンテ役であるキム・ジョンテを、イ・ギョンヨン氏が拷問技術者イ・クンアン前警監役のイ・トゥハンを演じた。 映画は2005年当時、保健福祉部長官だったキム・グンテ常任顧問が拘束収監中のイ・クンアン前警監に面会する‘拷問以後’の場面も再現する。

 チョン監督は 「ハン・ミョンスク前民主統合党代表、イ・ジェオ セヌリ党議員など維新・軍事政権で拷問された政治家たちと、訳も分からないまま捕えられスパイになってしまった一般拷問被害者など24人のインタビュー証言も映画の後半部分に入れた」と話した。 キム常任顧問の妻であるイン・ジェクン民主統合党議員は盧武鉉政府時期に閣僚会議に参加した長官役としてセリフなしで特別出演する。

 チョン監督はかなり以前からイ・クンアン前警監を素材にした映画を構想していたが、<南営洞>を読んで「これ以上遅らせるのはやめよう」として映画化を決心したと明らかにした。

 彼は‘拷問’と‘キム・グンテ’を2012年が終わる前に呼び出そうとする理由を説明した。

 "キム・グンテのような人々の苦痛と戦いを経て今日の民主主義時代に達したのではないですか。 ところが過去の痛みをよく知らない若者たちも多いです。 維新・軍事独裁政権に郷愁を感じて幻想を抱く人々までいますよ。その時期のどれほど多くの人々が犠牲になって、この時代まで来たのかを再び見て回ろうということです。"

 チョン監督は「いまだに南北分断を利用している勢力にだまされまいということもこの映画を通じて話したい」と語った。 映画は国家保安法が思想の自由を締めつけるという問題も提起する。 「国家保安法を刀の鞘に収めて博物館に送らなければならない」という盧武鉉前大統領の実際の発言も映画のセリフとして登場する。

 映画の純製作費は4億ウォン。 俳優は収益が出れば出演料を受け取るランニング ギャランティー条件で出演した。 チョン監督は「商業映画として劇場配給して欲しい」として「配給業者がこの映画に負担を感じれば、独立映画形態で配給するなり、ドキュメンタリー映画<2つのドア>のように配給委員団を設けるのも一つの方案になるだろう」と話した。 彼は「パク・ウォンサン氏がいなかったらできない映画」として「水拷問を撮影し俳優に苦痛を与えることがとても残忍だったし辛かった。 だから拷問映画を作らないんだなと感じた」と吐露した。 パク・ウォンサン氏は普段から水恐怖症があるのにも関わらず拷問被害者役を受諾したという。

 チョン監督は‘政治・社会的に敏感な素材をなぜ再び持ち出したのか’という視線の前に再び立った。 彼はこのように答えた。「若い監督がこのような素材に挑戦するならば私はやりませんよ。 やらなければならない話を誰もやらないから私がやるのです。 このような映画を作るのに勇気が必要ならば、私が勇気を出すということでしょう。」

提川(チェチョン)/ソン・ホジン記者 dmzsong@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/546936.html 訳J.S