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[週刊ハンギョレ21]アシアナ航空はヒゲを伸ばした機長に飛行停止処分

登録:2014-12-29 19:54 修正:2014-12-30 07:09
「服装および容貌規定」で外国人は例外
労組「人事権乱用…過度な身体拘束」
アシアナ航空がヒゲを伸ばした機長を飛行から外して論議が起こっている。アシアナは社規で役職員がヒゲを伸ばすことを禁じているが、外国人に対しては例外としている。 アシアナ航空機。//ハンギョレ新聞社

 アシアナ航空がヒゲを伸ばしたというだけの理由で機長を1か月近く飛行から除外して問題になっている。

 『ハンギョレ21』が入手した資料を総合すると、2014年9月12日午後、飛行を準備していた○機長は、金浦(キンポ)空港のトイレで安全運航担当役員と遭った。 当時、役員は機長のあごに3センチほど伸びたヒゲを指摘した。 役員と遭ってから、ほどなくしてチーム長から電話がかかってきた。 ひげを剃れという指示だった。 ヒゲを伸ばした外国人機長を見たことがあったので問題になるとは思わなかった。 アシアナ航空の社員勤務服装および容貌規定には「ヒゲを伸ばしてはならない。ただし慣習上、鼻ヒゲが一般化された外国人の場合には他人に嫌悪感を与えない範囲内でこれを許容する」とされている。

 この社規を確認した機長は、内国人に対する差別的規定だと判断してヒゲを剃って飛行せよという指示を受け入れなかった。 担当チーム長は指示に従わなかったという理由で、この日に予定されていた飛行スケジュールを別の機長に任せた。 その日以来、10月6日まで飛行停止が続いた。 飛行できない日が続き、機長は9月末にヒゲを剃ってはやく業務に復帰したいという意向をチーム長に伝えた。 それから10日ほどが過ぎようやく業務に復帰することができた。 地上勤務と訓練を経て、再び操縦席に座ったのは10月17日だった。 現在、機長は「容貌規定違反および指示不履行」を理由に人事委員会に回付されている。 追加的な懲戒を受けるやもしれない状況だ。 飛行時間を一定量満たして初めて受け取れる手当ても二か月間受け取れなかった。

 容貌規定を理由に機長が飛行停止処分を受けたケースは非常に珍しい。匿名を要請した別の航空会社の機長は、「ヒゲが伸びやすい人だったら、伸びた状態で飛行することもある」として「容貌を理由に飛行出来ないようにしたという話は初めて聞く」と話した。

 アシアナ航空操縦士労組は2014年11月、国家人権委員会にヒゲを伸ばすことを禁止した社員勤務服装および容貌規定の条項が、男性職員の“幸福追及権”など人権を不当に侵害するものだとして陳情を出した。 また別のアシアナ航空操縦士は「会社では白人ばかりでなく日本人や中国人機長もヒゲを伸ばしている」として「社規上、操縦士は乗客と対面しないようになっていて、厳格な容貌規定の必要性は少ない」と話した。 人権委は12月4日「憲法第10条の幸福追及権と関連して、私企業は調査対象に該当しないため却下する。また、憲法第11条の平等権と関連しては該当規定が内国人に比べて外国人を不合理に優待する規定というよりは、相対的少数である外国人に対する差を認めた規定と見られるので陳情を棄却する」と答えた。

 ○機長は今月9日、ソウル地方労働委員会に「ヒゲを伸ばしたというだけの理由で一方的に飛行停止という人事処分を通知して、賃金上の不利益を与えたことは人事権の乱用」とし「飛行停止期間に受け取る筈だった賃金を支給してほしい」と救済申請を出した。 労組関係者は「ヒゲを禁止する社規を職員に適用する過程で、会社が人事規定の手続きを通じて是正を要求したり懲戒処分をしたわけでなく、ヒゲを剃らないという理由だけで管理者が飛行停止を決めて給与まで支給しなかったことは社員の人権を踏みにじる処置」と話した。 民主労総全国公共輸送労組法律院のカン・ミンジュ労務士は「根本的に外国人機長にヒゲを許容するというのは、ヒゲと飛行業務の無関係を示すものであるから、このような社規は身体を過度に拘束している」と指摘した。

 これに対してアシアナ航空は「操縦士個人に事情があっても、飛行スケジュールの調整はありうる。 社規に違反した操縦士を飛行から除外したことは不当ではない。 ユニフォームを着なかった操縦士を飛行に投入できないのと同じこと」と反論した。

パク・ヒョンジョン ハンギョレ21記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/671162.html 韓国語原文入力:2014/12/29 16:58
訳J.S(1931字)

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