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韓国、過去最高の対米貿易黒字にも…「問題はトランプ」

登録:2024-04-08 06:11 修正:2024-04-08 07:10
韓国、米国の8大貿易赤字国に浮上 
トランプ前大統領、経済的圧力に乗り出す可能性も 
「ガスなどの輸入を増やしてバランスを取るべき」
ドナルド・トランプ前大統領/聯合ニュース

 史上最高水準に増えた韓国の対米貿易黒字が悩みの種として浮上している。今年11月、米大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領が当選すれば、貿易黒字を口実に韓国に経済的圧力をかける可能性があるからだ。韓国政府レベルでガスなどの米国からの輸入を増やし、バランスを取る案を戦略的に用意すべきと指摘する声があがっている。

 7日の韓国貿易協会の統計によると、昨年の対米貿易収支(輸出額-輸入額)は444億ドルで、過去最高額の黒字となった。1年前より58.6%急増した数値だ。対米貿易は1998年に赤字から黒字構造に転じて以来、この3年間で急速に黒字額が増加してきた。今年1~3月の対米貿易黒字も132億6千万ドルで、今後、年間最高黒字額を更新する可能性も予想される。

 韓国の最大の輸出国も中国から米国へと変わりつつある。昨年12月は月別最大輸出国が約20年ぶりに中国から米国に変わり、その後今年2~3月にも対米輸出額が対中輸出額を上回った。

 対米貿易は自動車を中心に好調だ。昨年、米国への自動車輸出額は前年に比べて44.6%増加し、二次電池の輸出額も16.8%増えた。米国が自国に工場を建てる企業に補助金などを与える政策を展開するのも、対米輸出規模を拡大する要因となっている。国内企業が米国現地に半導体や二次電池、電気自動車工場などを建設したことで、関連装置の輸出も増加しているのだ。機械類の昨年の対米輸出増加率は100.2%に達する。

 対米輸出の増加は、中国向け輸出が低迷している間、大きな役割を果たしてきた。だが、トランプ前大統領の再選の可能性が高まるにつれ、韓国は対米貿易をめぐるジレンマに陥っている。

 トランプ前大統領は再選に向けて掲げた公約集「アジェンダ47」で、「日本と韓国から入ってくる安価な輸入品により、米国の自動車産業が破壊され、米国の心臓部の町と都市全体が荒廃した」と主張した。そして、すべての輸入品に10%の関税を導入し、貿易黒字が多い国ほど関税をさらに課すという公約を掲げている。韓国は米国の10大貿易赤字国に含まれており、2022年に9位、昨年は8位に上がった。トランプ前大統領が対米貿易黒字を口実に韓国を為替操作国に指定するなど、経済的圧力に乗り出す可能性が高くなっている。

 専門家らは先制的な対応策を講じるべきだと助言する。企業の輸出を人為的に減らすことは不可能であるため、政府が乗り出す必要があるということだ。産業研究院は先月出した報告書で「米大統領選挙でトランプ候補が当選した場合、貿易収支黒字に対する圧力が強まる可能性が高い」とし、「過去のトランプ政権時代、米国産シェールガスの輸入拡大などを韓国政府レベルで広報し実行したことを考えると、今回も貿易収支黒字の規模を戦略的に減らす方策を講じなければならない」と強調した。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1135577.html韓国語原文入力:2024-04-07 19:10
訳H.J

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