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韓国、世界最低の出生率さらに低下…このままでは2050年にはマイナス成長

登録:2023-12-04 07:41 修正:2023-12-04 07:56
韓銀「住居、雇用、育児など解決すべき 
合計特殊出生率1.5人までは回復可能」
韓国の合計特殊出生率は2021年の0.81人から昨年は0.78人に下落。報告書によると、2021年現在で世界217カ国(特別行政区など含む)中、香港を除いて最下位だった=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 韓国の出生率が今の傾向を維持すれば、2050年からは経済成長率が「マイナス」になる可能性が高い。このような警告が発せられた。政府が類例のない速さで下落する出生率を引き上げられなければ、マイナス成長は遠くないうちにやって来るということだ。韓国銀行は、こうしたシナリオを避けるためには首都圏集中を緩和するとともに、政府による予算支援を増やして住居、雇用、育児の3大不安を早急に解決すべきだと提言した。

 韓国銀行はこのような内容の報告書「超少子および超高齢社会―極端な人口構造の原因、影響、対策」を3日に発表した。韓国の合計特殊出生率は2021年の0.81人から昨年は0.78人にまで下落しているが、報告書によると、これは2021年現在で世界217カ国(特別行政区など含む)中、香港を除いて最低だった。

 出生率が現在の傾向のままだと、2070年には98%の確率で総人口が4千万人を下回る。これは少子化に対する効果的な政策対応が行われないという仮定の下、研究陣が推定した出生率のたどる経路の行く末だ。この場合、2050年代に韓国経済の実質すう勢成長率が0%を下回る可能性は68%に達する。すう勢成長率とは、短期的な景気変動による影響を取り除いた成長率。超少子化の影響で人口が急減するに伴い、経済規模も後退するということだ。

 韓国の出生率が低下する理由として、研究陣はまず青年層が感じる競争圧力をあげた。研究陣が昨年25~39歳の2千人の青年に尋ねたところ、競争圧力を強く感じている集団(0.73人)より感じ方の弱い集団(0.87人)の希望する子どもの数の方が有意に多かった。住居、雇用、育児の3つの側面で感じる不安も原因としてあげられた。青年層の雇用率の低さと労働市場の二重構造、住宅価格の高騰と育児費用が出生率を引き下げているということだ。先行するアンケート調査では、就業者(49.4%)は非就業者(38.4%)に比べて結婚の意向を示す回答者の割合が高かった一方で、非正規就業者(36.6%)は非就業者よりその割合がむしろ低かった。

 研究陣は、これらの原因に正面から向き合う「救助政策」が実施されれば、0.7人台の合計特殊出生率は1.5人を超える可能性があると分析した。競争圧力を強める首都圏集中を緩和すると同時に、住宅価格と家計負債を安定化させ、労働市場の二重構造も改善すべきだということだ。育児不安を軽減するために政府の予算支援を増やすべきだとも述べている。

 実際に研究陣が2019年のデータをもとに分析したところ、韓国の都市への人口集中度(431.9)が経済協力開発機構(OECD)平均(95.3)にまで下がれば、合計特殊出生率は0.414人上昇する。婚外出産の割合(0.159人)、青年層の雇用率(0.119人)、育児休職の実質利用期間(0.096人)、家族関連の政府支出(0.055人)なども、OECD平均に達すれば、出生率を有意に引き上げると分析された。実質住宅価格指数は、2015年の水準にまで低下しても出生率を0.002人引き上げるにとどまるが、これはコロナ禍以降の住宅価格の高騰が反映されていないことの結果だと思われる。

 韓国の出生率の低下は、世界的にも警戒心を呼び起こしている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)のコラムニスト、ロス・ダウサート氏は2日(現地時間)、「韓国は消滅するのか」と題するコラムで、「韓国水準の出生率が維持される国は、200人が1世代を構成するとすれば、次の世代は70人に減ることになる」とし、「このような人口減少は、14世紀にペストが欧州にもたらした人口減少をしのぐもの」と述べた。同氏は、2067年には韓国の人口が3500万人を下回る可能性があるという統計庁の人口推計(低位推計シナリオによる)を引用しつつ、「この程度であっても十分に韓国社会は危機に陥る」と述べている。

イ・ジェヨン、チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1118901.html韓国語原文入力:2023-12-03 19:16
訳D.K

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