韓国産業研究院が造船産業競争力を分析した結果、韓国は研究開発(R&D)・設計,生産で優れている反面、AM(After Market)サービスと需要面では弱いことが分かった。総合競争力では1位となったが、日本・中国に比べて大きな差はなかった。
産業研究院が11日に出した報告書「造船産業バリューチェーン別競争力診断と政策方向」によれば、2021年基準で韓国造船産業の総合競争力は100点満点の86.7点と評価された。日本は84.6点、中国は84.0点、欧州連合(EU)は73.8点だった。産業通商資源部の依頼でなされた今回の分析は、産・学・研の専門家12人が議論を行い合意点を探す「デルファイ調査」方式で行われたと研究院は明らかにした。2020年基準の評価時は、韓国・中国・日本・EUの順だった。
韓国の造船業は生産分野では91.9点で、中国(85.1点)、日本(82.3点)、EU(65.1点)を比較的大きくリードした。研究開発・設計(89.1点)でも日本(84.1点)、中国(80.1点)、EU(76.2点)より高く評価された。生産(建造)後に行われる修理造船などのAMサービスでは、中国89.5点、日本81.9点、韓国79.0点、EU71.8点の順だった。造船業を下支えする海運・エネルギー産業などにより評価される需要の側面では、中国88.3点、日本85.7点、韓国81.0点、EU76.0点であり、素材・部品・システムを利用または設置する調達の側面では、日本89.6点、韓国87.8点、EU83.8点、中国77.8点の順だった。
船種別では、韓国の造船業がガス運搬船・コンテナ船・タンカーなど高付加価値船舶ではリードし、相対的に付加価値の低いバルク船分野では中国と日本に後れを取った。
産業研究院は「造船業の競争力確保のためにバリューチェーンの強みであるR&D・設計部門でカーボンニュートラル(炭素中立)およびデジタル転換で創出されるエコ・スマート船舶関連技術の開発とインフラ(基盤)の拡充が必要だ」と強調した。国際海事機関(IMO)とEUの環境規制強化を背景にしての提案だ。国際海事機関は、カーボンニュートラル達成のために船舶の設計段階から炭素排出削減を満たすよう規制を施行しているのに加え、既存の船舶に対してもエネルギー効率等級を付与し、炭素排出削減を誘導する計画を立てている。これに伴い、老朽化した船舶が環境にやさしい船舶に早期に代替されるだろうと研究院は展望した。
産業研究院はまた「構造調整以後に最適化されていない産業構造を安定化し、足りない人材の確保案も設けなければならない」と付け加えた。韓国の造船業は最近2年間に大規模受注で3年分の仕事を確保したが、2016年から長期にわたり続いた不況の余波で人材不足事態に陥っている。韓国造船海洋プラント協会は、今年末まで韓国の造船業分野で足りない生産人材規模を1万4千人余りと推算している。