サムスン電子とSKハイニックスは、中国工場内の半導体生産施設に必要な機器を今後1年間は米商務省の許可手続きなしに持ち込めることになった。米国が半導体生産機器の対中輸出規制を強化したことで、韓国企業も米商務省の許可を受けなければならなくなったが、1年間の猶予期間が設けられたかたちだ。
12日のワシントンの消息筋によると、米商務省は最近、このような方針をサムスン電子とSKハイニックスに通知した。SKハイニックスはこの日、報道資料を発表し、その中で「中国内の半導体生産施設に必要な機器を1年間は米国の許可なしに供給してもらうことで米国商務省と協議がなされた」と明かした。サムスン電子は公式の立場を表明していないが、同じ内容が通知されたという。
これに先立ち、米商務省は先端の非メモリー半導体だけでなく、韓国企業の主力生産品であるメモリー半導体に対する規制も強化している。DRAMは18ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)以下、NAND型フラッシュメモリは128層以上の生産機器を中国国内の業者に販売するためには許可が必要になる。米国の機器メーカーは原則的に中国企業に販売できず、中国に進出している外国企業は各案件ごとに審査を受けることになっている。
サムスン電子は西安でNANDフラッシュメモリを、SKハイニックスは無錫と大連でDRAMとNANDフラッシュメモリを生産している。サムスン電子の西安工場のNANDフラッシュメモリ生産量は、同社の全供給量の40%を占める。SKハイニックス無錫工場と大連工場はそれぞれDRAM生産量の半分とNANDフラッシュメモリ生産量の20~30%を担っている。
米商務省の今回の措置により、サムスン電子とSKハイニックスは1年間は特に審査や許可を受けずに中国の生産施設に機器を持ち込めるようになった。米国の措置は、韓国の半導体メーカーの中国生産施設のアップグレード日程を反映して取られたという。米国内の半導体供給が円滑でない場合を考慮した措置だということだ。
サムスン電子とSKハイニックスは、1年間は特に問題なく機器を持ち込めるようになったものの、不安はより高まったという反応を示す。1年後の許可および審査の基準と方式がどうなるかは全面的に米商務省の決定にかかっているため、中長期的な不確実性は依然として残っている。ある半導体業界の関係者は「1年だけでは数百億ないし数千億ウォンに達する機器は持ち込めない」とし、「不確実性が大きいだけに、今後の投資もさらに苦悩せざるを得ない」と語った。米国現地の消息筋は「当面は韓国企業は輸出規制の対象から外れたが、今後どうなるかは分からないのが問題」と語った。
これについては、米商務省を直接相手にする韓国政府の役割がさらに重要になったという分析も示されている。匿名のある証券会社のアナリストは「1年の猶予ができたとはいえ、韓国企業の中国国内の半導体生産施設の技術水準を米国が決定できるようになったことは変わっていない」とし、「米商務省の措置についての不確実性を低くすることができるのは、個別企業ではなく韓国政府」だと語った。