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ウクライナ、サムスンにロシア輸出中止要請…困惑する韓国企業、中国の顔色もうかがう

登録:2022-03-07 02:22 修正:2022-03-07 07:38
グローバル企業の相次ぐ取引中止の中 
公の言及は控えつつ戦々恐々
ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相兼デジタル転換相がサムスン電子のハン・ジョンヒ副会長に送った書簡=ネイバーイメージより//ハンギョレ新聞社

 アップルやテスラなどの米国企業がロシアのウクライナ侵攻を糾弾するとの趣旨から対ロシア輸出・サービスを中止したり、ウクライナ支援の意向を相次いで表明したりしている中、韓国の大企業はこれに同調するかをめぐって戦々恐々としている。特にウクライナ政府がロシアに圧力をかける手段として、サムスン電子などの特定企業に対して対ロシア輸出・サービスの中止を公に要求していることも、企業を困惑させている。

 ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相兼デジタル転換相は、サムスン電子のハン・ジョンヒ副会長に書簡を送り、サムスン製品のロシアへの輸出の中止を要請したことを、4日(現地時間)にツイッターで公開した。同氏はツイッターに添付した書簡の中で「全世界の財界のリーダー、企業、団体は、我々がいかなる価値のために戦っているのかをはっきりと理解し、言葉と行動で我々を積極的に支援している」とし「侵略者を防ぎうるただ一つの解決策はないが、こうした努力は侵略を遅らせるのに役立つだろう」と述べた。続いて「ロシアの戦車とミサイルがウクライナの幼稚園と病院を爆撃する限り、ロシア人はサムスン電子のすばらしい製品を使用することはできない」、「サムスン電子は世界の平和を憂慮し、権威主義的侵略を支持しないだろうと信じる」、「世界平和に向けて一歩踏み出すことを求める」とし、サムスンペイやギャラクシーストアなどを通じた製品とサービスの提供を暫定的に中止することを求めた。

 フェドロフ副首相はすでに、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)、テスラとスペースエックスのイーロン・マスクCEO、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏にも書簡を送り、ロシアに対するサービスの中止とウクライナへの支援を要請しているという。

 サムスン電子は6日、これと関連し「ロシアとウクライナの事態発生初期から、輸出船への積み込みを中断している」と明かした。同社の関係者は本紙の電話取材に対し「現地の物流事情が良くないこと、ルーブルの暴落による為替リスクを考慮した決定」と説明した。サムスン電子はまた「ウクライナについては、難民に対する人道的観点からの救援物資支援などを国際機関と連帯して推進している。すでに600万ドル(家電製品100万ドル分を含む)をウクライナ赤十字などに寄付することにしており、役員や一般社員の自発的な寄付金も追加する計画」だと述べた。

 しかし、本音ではロシア-ウクライナ事態に関して公式の立場表明を要求されていることに困惑している様子だ。サムスン電子の別の関係者は電話取材に対し「今の状況で『輸出中止』ないし『販売中止』という用語を使えば、考えなければならない事案が多くなる」とし「『船積み中止』程度が適当な表現だと思う」と述べた。それだけ用語や表現にまで気を使っているわけだ。

 他の大企業各社の態度も同様だ。これに先立ち、「韓米が協議し、ロシアへの輸出制限品目から自動車、スマートフォン、洗濯機などの日常消費財商品は除外することを決めた」という政府発表に対する立場を尋ねると、ある輸出大企業の役員は「単に『業界関係者』として『鋭意注視している』とだけ書いてほしい」と述べた。そして「今はにっちもさっちもいかない状況」とその理由を語った。

 匿名を求めた輸出大企業の関係者はこれに関連して「国内のグローバル企業は、ロシア側よりも中国の消費者の顔色をうかがっている」と語った。この関係者は「中国の知識人の何人かがロシアのウクライナ侵攻を糾弾する文章をオンライン掲示板に載せたが、炎上して削除したという報道を、大企業は容易ならざる事態と見ている。ロシアの行動を好意的に見るような中国の消費者の情緒に注目しているわけだ」と述べた。別の輸出大企業のチーム長は「マスコミから要請があるたびに、いかなる場合であっても会社名はあげずに『業界関係者』にしてほしいと頼むか、言及を拒否している」と語った。

キム・ジェソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1033717.html韓国語原文入力:2022-03-06 15:56
訳D.K

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