自動運転技術の元祖である自動車分野は、企業間の技術開発のスピード競争が激化している。技術力の優位を証明し市場を先行獲得するために、各社が大規模投資と開発人材を注ぎ込んでいる。スピード戦に参入したのは自動車メーカーだけではない。最近市場で注目を浴びているのは、スマートフォンなどを作る世界最大の情報技術(IT)企業である米国のアップルだ。
ブルームバーグ通信は19日(現地時刻)、「アップルが社内では4年以内に完全自動運転車を発売することを目標にしている」と報道した。今年初めまでは完全自動運転車の発売には5~7年かかるとみられていたが、発売目標時期を4年後の2025年に大幅に操り上げたという意味だ。同メディアはまた、アップルが自動運転車に搭載する自社半導体チップ(プロセッサ)の開発をほとんど完了しており、近い将来に道路試験走行を始めるだろうと付け加えた。これに先立って2014年から秘密裏に稼動したアップルの電気自動車開発プロジェクト「プロジェクト・タイタン」は、7年間の開発遅延、主要な人材の離脱などを経験した。
自動車の自動運転技術は、通常0~5段階(レベル)に区分される。段階が高いほど運転の主導権が人から機械に移る。1段階では足を離し、2段階では足と手を離し、3段階では足と手と目を離す条件付き自動運転がなされる。4段階では特殊状況を除く大部分で自動車が自ら運転する水準、5段階では車内からペダルと運転席が姿を消す完全自動運転になる。現在、自動車メーカーのうち最も進んだ自動運転技術を保有する米国のテスラの走行補助システム「オートパイロット」は2段階の水準だ。ブルームバーグが言及したアップルの自動運転車は5段階の自動運転技術を持つ車を指している。
自動車メーカーは、技術の完成度を高めるために激しい競り合いを展開している。テスラは自動運転2~3段階の中間とみなされる「フルセルフドライビング」(FSD)機能を試験中で、ゼネラルモータース(GM)も2023年から多くの道路状況に対処できる自動運転技術「ウルトラクルーズ」を量産車に適用する予定だ。現代自動車も最近開いた開発者カンファレンスで「来年には手を離して走行できる高速道路の自動運転3段階技術を量産し、ソウルで4段階技術を適用したロボタクシーのテストサービスも進める計画」と明らかにした。日本のトヨタも今年2月、富士山麓の廃工場跡に水素エネルギーと太陽光、自動運転、人工知能(AI)技術などを連係させたスマート都市の着工式を開いた。これに先立って同社は、米国のライドシェアリング(配車サービス)企業リフトの自動運転事業部を5億5千万ドルで買収した。
だが、完全自動運転までは先が長いという指摘が少なくない。グーグルの親会社アルファベットは、昨年カナダのトロントの湖畔に自動運転車専用スマートシティを構築する計画を中止した。個人情報保護の問題で反対世論に直面したためだ。単純な技術開発にとどまらず、社会的受容という最終的な敷居があるわけだ。米国の車両共有サービス筆頭企業のウーバーも昨年、自動運転事業部を外部に売却した。莫大な投資をした具体的な成果を出せなかったためだ。