韓国、中国、日本、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が参加する世界最大の自由貿易協定(FTA)である地域的な包括的経済連携(RCEP)が来年1月1日に公式発効する。低くなった関税の壁を活用し、韓国企業の輸出活動が次第に活発になる見通しだ。ただし、関税撤廃が段階的に行われ、非開放品目も多いため、発効直後からその効果を体感することは難しいものとみられる。
オーストラリアとニュージーランド政府は2日(現地時間)、RCEPを批准したと発表した。RCEPによると、ASEAN加盟国の6カ国以上、ASEAN以外の3カ国以上がASEAN事務局長に批准書を寄託すれば、60日後に批准書寄託国から協定が発効する。中国、日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナムがすでに批准手続きを完了しており、今回オーストラリアとニュージーランドが加わったことで、発効要件が満たされた。韓国は国会で批准手続きが進められており、協定の適用時期は来年1月末になる見通しだ。産業通商資源部は「国会内にこれといった反対意見がないため、批准手続きは無理なく完了すると思われる」と述べた。
インドもRCEPへの加盟交渉を行ってきたが、市場開放による中国産工業製品の輸入急増に対する懸念などのため、加盟を見送った。日本はインドが中国を牽制する役割を果たすことを期待していたが、今回は実現しなかった。しかしインドをオブザーバーとして参加を認めることで加盟国が合意し、今後の加盟の余地を残した。
RCEPは様々な面で最大規模の自由貿易協定だ。産業省の資料によると、加盟国の総人口は22億6千万人で、全世界の人口の29.9%を占める。地域内の貿易規模と名目国内総生産(GDP)の世界における割合もそれぞれ30%前後になる。2018年12月に発効した「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」の貿易規模(2兆9千億ドル)よりも2倍近く大きい。
韓国は、同協定の加盟により個別国家と自由貿易協定を結んだのと同じ効果を享受できる。ただし、RCEPは段階的に関税を減らすことにした品目が多い上、開放対象に含まれない品目も多く、比較的「緩い」自由貿易協定だ。一例として、韓国は自動車市場を日本に開放せず、代わりに日本はキムチやパプリカなど農産物を開放品目から除外した。協定発効による目に見える効果を短期間で期待するのは難しい状況だ。
にも関わらず、一部品目では輸出増加のような肯定的効果が中長期的にはっきり現れる可能性が高い。韓国政府は、その恩恵を受ける代表的な業種として自動車部品や鉄鋼を挙げる。当該品目に対する関税の壁が大幅に低くなるためだ。具体的にインドネシアやフィリピン、タイなどはシートベルトやエアバッグ、ホイールなどに対する関税を撤廃する。5%の関税率が適用されていた棒鋼など鉄鋼製品と、20%の関税が賦課されてきた鉄鋼管も無関税輸出が可能になった。昨年基準の国内鉄鋼会社各社のRCEP加盟国への輸出規模は計129億ドルで、世界輸出の半分ほどを占めていることを考えると、協定の発効による輸出額の増加やこれらの企業の利益率の改善も期待できる。