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韓国の造船業、実績は好調なのに株価は低迷…なぜ?

登録:2021-10-29 08:12 修正:2021-10-29 09:48
造船業界最年長の韓国造船海洋、第3四半期の業績が予測を上回る 
3年分の受注確保…2024年から利益増加する見込み 
子会社が上場、親会社の株価は下落傾向
//ハンギョレ新聞社

 韓国の造船業界で最年長の韓国造船海洋が、市場の予想を上回る実績成績を出した。主な原材料である鉄板を予想より低い価格で調達できたうえ、為替など対外環境も追い風になっている。悪材料を払拭して前進するのみというのが会社側の見通しだが、株価には反映されていない様子だ。

 韓国造船海洋が28日に発表した今年第3四半期の経営実績によると、売上高は3兆5600億ウォン(約3450億円)で昨年第3四半期に比べ3%増加し、営業利益は1400億ウォン(約135億円)で248%増えた。現代重工業グループの造船中間持株会社である同社の実績には、世界1位の造船会社の現代重工業をはじめ現代三湖重工業、現代尾浦造船のグループ造船3社の実績が含まれる。

 これは当初の証券業界の予測より良い実績だ。市場では、韓国造船海洋が第3四半期に小幅な営業損失を出し、赤字に転じると予想されていた。利益改善の主な要因となったのは、規模拡大よりはコストの減少や外部環境の影響だ。一例として、最近のウォン安による利益が約1800億ウォン(約175億円)発生した。造船会社は輸出企業であるため、外貨では同額でもウォン安になればウォンに換算した利益が増える。

 また、船舶の建造に使う厚板(鋼鉄板)価格の高騰を予想し、予め費用に反映した原価引き上げ分のうち、600億ウォン(約58億円)が第3四半期の営業費用から除外されたのも、利益の増加に一役買った。前四半期に鉄板価格上昇による費用予想増加分9千億ウォン(約870億円)程度をあらかじめ反映したが、実際ポスコなど鉄鋼会社からこれより安い価格で厚板を仕入れたのだ。

 今後、業績がさらに好転するだろうという期待も高まっている。最近、コロナ禍からの回復による物流増加や海運運賃の上昇などで超大型コンテナ船などの発注が急増し、造船会社の受注と船舶建造価格がいずれも好調を見せているからだ。

 実際、現代重工業など韓国造船海洋の子会社らは、今年に入ってから現在まで、グローバル船社から船舶199隻を受注した。受注額は177億ドルで、今年の年間目標値を24%超で達成した。建造期間を念頭に置けば、2024年まで3年分の仕事を確保したことになる。

 ただ、最近の受注量が実際の実績に反映されるまでには時差がある。船舶受注から建造までは通常1~3年程度かかり、最近受注したものも今後の工事状況に応じて実績に分けて反映される予定であるからだ。現在の売上と営業損益はほとんどがコロナ禍などの影響で低価格で受注した過去の契約に基づいている。

 韓国造船海洋のソン・ギジョン常務(IR担当)は同日の業績発表会で「来年までは黒字を維持するとしても、大幅の業績改善を期待するのは難しい」とし、「2年後の2023年からターンアラウンド(業績改善)し、2024年には売上と営業利益ともに早い改善傾向を示す見通し」だと述べた。

 第3四半期に数百億ウォン台の営業赤字が予想される大宇造船海洋、サムスン重工業なども、営業実績が底を打ち、2023年ごろからは業況改善の勢いに乗るというのが証券業界の見方だ。カギを握るのは、強化傾向にあるエコ規制や原油価格の流れだ。規制順守のためのスマート船舶や海洋プラント発注などに影響を及ぼしかねないためだ。

 しかし、このような明るい見通しが株価にはまだ反映されていない。今年9月にKOSPI(韓国総合株価指数)に上場した現代重工業は、現在の株価が1株当たり11万2千ウォン(28日の終値基準)で、市場の期待を集めていた上場初日の取引開始価格(9月17日、1株当たり11万1千ウォン)まで回復した。上場後には1株10万ウォン台に止まっていたが、持ち直したのだ。

 一方、現代重工業の親会社である韓国造船海洋は、株価の低迷が目立つ。同社の株価は5月11日に1株当たり16万500ウォン(約1万5500円)で年中最高値を記録したのち、現在10万2千ウォン(28日終値基準)まで急落した。これは現代重工業の上場が悪材料に働いたためとみられる。韓国造船海洋傘下の最大の造船子会社が証券市場に直接進出したことで、投資家らが現代重工業の方に殺到したことが原因に挙げられる。大宇造船海洋やサムスン重工業も、まだ業績回復への期待感が薄く、年中最高値には大きく及ばないレベルで株価が形成されている。

 大信証券のイ・ドンホン研究員は「韓国造船海洋は子会社から配当を受けず、自社事業も本格化する前なので、造船会社に投資するならあえて中間持株会社よりは現代重工業の方が良いというのが投資家の基本的な考えのようだ」とし、「現代重工業が上場してからある程度時間が経ったため、今後は業況によって両社の株価の流れが同調する雰囲気は形成される可能性がある」と予想した。

パク・ジョンオ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1017074.html韓国語原文入力:2021-10-29 02:05
訳H.J

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