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韓銀、400兆円超の負債と資産過熱に「警告」…「ソウルの住宅価格、過大評価」

登録:2021-06-23 05:10 修正:2021-06-23 07:28
韓国銀行の金融安定報告書 
今年第1四半期現在の家計+企業負債、GDPの2倍規模 
金融不均衡が深刻化すれば、成長率マイナス0.8%を下回る 
内外のショックが加われば住宅価格が大幅に下落する可能性
クリップアートコリア提供//ハンギョレ新聞社

 韓国銀行は、国内総生産(GDP)の2倍規模に膨れ上がった民間負債と、資産市場の過熱に強い懸念を示した。金融不均衡が深刻化すれば、最悪の場合成長率がマイナス0.8%を割り込み、住宅価格も大幅に下落しうるという。韓銀はまた、金利が引き上げられれば脆弱階層の延滞率も2.0ポイント上昇すると分析した。こうした韓銀の分析は、韓国はもちろん世界が金融引き締めへと転換する状況下で「借金をしてまで投資」などにこれ以上むやみに飛び込まないようにとの警告と解釈される。

 韓銀は22日、「2021年6月金融安定報告書」を発表し、韓国の名目GDPに対する民間信用の割合は、今年第1四半期末現在で216.3%だったと明らかにした。名目GDPは第1四半期現在で1954兆ウォン(約190兆円)。民間信用は家計(民間融資、政府融資)と企業(民間融資、債券、政府融資)の負債を合計したもので、総額4225兆9000億ウォン(約411兆円)。家計信用は2045兆ウォン(約199兆円)で、GDPに対して104.7%。企業信用は2180兆9000億ウォン(約212兆円)で、GDPに対して111.6%だった。

 多重債務、低所得、低信用者に当たる脆弱階層が家計融資を受けた人に占める割合は、昨年第4四半期末現在で6.4%だった。債務返済額が可処分所得に占める割合(DSR)が70%以上の「高DSR債務者」の割合は13.5%。低金利基調を受けて債務返済の負担が減ったほか、新型コロナウイルス対策の金融支援措置が実施されたことで、延滞率は脆弱債務者が6.4%、高DSR債務者が0.8%となっている。しかし今後、延滞率が大幅に上昇しうるというのが韓銀の判断だ。彼らは変動金利融資の保有比率が高く、金利引き上げの際には信用リスクを反映した加算金利が急速に上昇するためだ。韓銀の分析によると、金利上昇期に脆弱債務者は延滞率が2.0ポイント、高DSR債務者は0.3ポイント上がる。ここのところ韓銀は、年内の金利引き上げの可能性をほのめかしている。

 コロナ禍を克服するための低金利は、資産市場での危険な投資を助長するという副作用ももたらした。韓銀はこの日、資産価格の急激な上昇や過度な投資は金融不均衡を招いていると述べた。また「金融不均衡の累増で、実体経済の下方リスクがコロナ禍以降拡大している」と評価した。韓銀は、現在の金融不均衡の水準では、極端な場合(確率10%)、GDP成長率がマイナス0.75%(年率)以下に下落する危険があると分析した。

 金融の脆弱性も強まっている。韓銀がこの日算出した金融脆弱性指数(FVI)は今年第1四半期が58.9で、2008年9月(73.6)のグローバル金融危機後、最も高い水準を記録した。コロナ禍前の2019年第4四半期(41.9)と比べると17ポイントの上昇だ。

 特に住宅価格の下落に対する懸念も示された。韓銀は、長期の趨勢や年間所得に対する住宅価格の割合(PIR)などの主な統計指標を見ると、ソウル地域の不動産価格は過大評価されている可能性があると明らかにした。また、金融不均衡が累増された際に国内外のショックを受ければ、住宅価格は大幅に下落しうると述べた。金融不均衡が続いたことで、住宅価格の下方リスク(House price-at-Risk)が昨年第1四半期以降、大幅に拡大しているというのだ。

 韓銀は、仮想資産についても「コロナ禍以降の暗号(仮想)資産価格の急上昇を合理的に説明する根拠を見出すことは困難」と懸念を示した。ただし韓銀は、国内の仮想資産市場の時価総額を約50兆ウォン(約4兆8700億円)と推定した場合、全体の時価総額に比べて規模が小さいため、個人投資家の損失が金融システムの安定性を損ねることはないとの見通しを示している。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1000419.html韓国語原文入力:2021-06-22 16:47
訳D.K

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