韓国政府が今年の経済成長率見通しを4.2%へと大幅に上方修正した。新型コロナワクチン接種の拡大や拡大財政政策で消費回復が期待される上、輸出も好調を示すなど、景気の持ち直しに拍車がかかっているという判断によるものだ。政府は、来年も景気回復が続き、3%成長が可能だと予想した。
政府は28日に発表した「2021年下半期経済政策方向」で、今年韓国の実質国内総生産(GDP)が4.2%成長するとの見通しを示した。民間消費や輸出、雇用など経済の核心軸が当初の予想より好転すると分析され、成長率見通しを昨年12月(3.2%)より1.0ポイントも上方修正した。これは国際通貨基金(IMF 3.6%)、韓国銀行(4.0%)、産業研究院(4.0%)などの予測より高いが、資本市場研究院(4.3%)やJPモルガン(4.6%)よりは低い水準だ。政府が今年の成長率見通しを達成した場合、2010年(マイナス6.8%)以降11年ぶりに4%以上の成長を成し遂げることになる。
政府はこのため、「内需拡大」と「社会的弱者への支援」に下半期の経済政策を重点を置くことにした。今年上半期の経済回復を輸出と製造業が引っ張ったとすれば、下半期には財政を通じて内需拡大と格差解消などを通じて「完全な経済回復」に向けた基礎を固める方針だ。
具体的には第2次補正予算を通じて災害支援金やクレジットカードのキャッシュバック(共生消費支援金)、社会的弱者への支援などを進める。政府は今週中に第2次補正予算を発表し、災害支援金の対象と支給額を具体化する見通しだ。また新型コロナ被害が大きかった部門への支援のため、文化・芸術・公演・体育・外食分野に消費クーポンとバウチャーを追加発行する。特に、政府が下半期の「核心事業」として挙げたクレジットカードのキャッシュバックは、第2次補正予算に1兆ウォン(約980億円)規模で編成される予定だ。
コロナ禍による格差と不平等解消のための若者対策も目を引く。若者対象の求職促進手当て(6カ月間、月50万ウォン)の財産要件をこれまでの3億ウォンから(約2900万円)から4億ウォン(約3900万円)に緩和し、就業経験の有無を問わないことにした。若者優待請約通帳(マンション分譲の資格を得るために加入する通帳)も加入要件を年間所得3000万ウォン以下から3600万ウォン(約350万円)以下に緩和し、加入期間も2年延長する。無住宅の若者のための家賃20万ウォン(約1万9千円)無利子融資支援、軍将兵のための未来準備積金支援の拡大なども施行する計画だ。7月には資産形成支援のための所得水準別対策も発表される予定だ。
このほか、財政投入による特別雇用促進奨励金の拡大(2万~3万人)やワクチン・防疫関連人材の支援(6万~7万人)、高齢者や低所得層、芸術家の雇用拡大(3万~4万人)などで、15万以上の雇用を創出する計画だ。
チョン・セウン忠南大学教授(経済学)は「今年の韓国経済が4.2%の成長率を達成するとみられるが、コロナ禍の被害を乗り越えて完全に回復できるかはまだ不透明」だとし、「超過税収を活用して小商工人や低所得層、失業者などのための支援をもっと積極的に行う必要があるが、下半期の経済政策方向はそこには及ばない」と述べた。