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「脳腐れ」と「怒りのエサ」…どうして金になるのか【コラム】

登録:2025-12-25 08:30 修正:2025-12-30 06:48
//ハンギョレ新聞社

 オックスフォード英語辞典は毎年、社会像を反映してその年を代表するに値する単語を選定しているが、今年は「怒りのエサ(rage bait)」を選んだ。挫折感、不快感、挑発を刺激し、ユーザーの怒りを意図的に引き出すコンテンツが勢いを増す現象を皮肉った言葉だ。昨年は「脳腐れ(brain rot)」、すなわち刺激的なショートフォームコンテンツを過剰消費して集中力が弱まったり、知的退化が深刻化したりする現象を意味する単語を選定した。

 喜怒哀楽などの人間の数々の感情の中で、なぜあえて怒りなのだろうか。人間の注意力は限られており、プラットフォームはそれを獲得するために競争している。他の感情に比べて怒りは引火性が高く、伝染力も強い。悲しみは長く引きとめておかないと感じないし、喜びは人によって異なるが、怒りはすぐに感じる。そのうえ、道徳的正義感という大義名分も立つ。脳腐れによる知的な退化によって市民の熟考能力が奪われていると、怒りの感情は簡単に火がつく。プラットフォームが私たちの注意力を奪うと同時に、脳腐れと怒りのエサはこのように相乗効果をあげながら成長していく。

 怒りはたやすく伝染、拡散する。プラットフォームでユーザーは怒りを誘発するコンテンツに反応してコメントを付けたり、「いいね」や「共有」をタップしたりする。このような補償装置はユーザーに高い効能感を抱かせる。アルゴリズムは中立的な媒介者ではなく、タップの最大化のために怒りを増幅させ、広めさせるように設計されている。怒りは金になるからだ。

 怒りのエサは、より多くのタップを誘導するために精巧になり、短くなり、刺激的になる。前後の脈絡も消え去る。真実や公的な熟考のような諸要素は後回しにされやすい。省察と討論に代わって極端な表現が支配する社会では、民主主義が消えていく。熟考する市民の省察と注意力こそ、民主主義を支える柱だからだ。

 こんにち、極右が勢力を得ているのも「怒りのエサ」と関係が深い。極右は怒り、挫折、嫌悪などの感情と関係が深い。怒りを投影する標的を探す過程で移民、障害者、女性などのマイノリティーが対象になる。怒りのエサは、その標的を供給する市場なのだ。

 どのように対応できるだろうか。ツイッターの「摩擦政策」が小さなヒントになりうる。ツイッターは2020年の米国選挙の前に、人々が記事を読んだり、コメントを付けたりする前に表示する警告ラベルを導入した。つまり、1~2秒程度であっても、到達時間を遅らせて記事を読ませ考えさせれば怒りなどの即時的な反応も軽減される可能性があるというわけだ。

ハン・グィヨン|人とデジタル研究所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1236389.html韓国語原文入力:2025-12-24 16:36
訳D.K

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