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双龍自動車への新規投資を撤回…マヒンドラ、筆頭株主を事実上放棄

登録:2020-04-06 02:21 修正:2020-04-06 12:17
[9年で再び“破産か再生か”の岐路に] 
当初約束した2300億ウォンの新規投資計画 
コロナの影響などで「不可能」発表 

自分のことで手一杯のマヒンドラ 
インドでバブル崩壊の兆しに 
3月だけで車販売が90%近く減少 

双龍車、販売萎縮に財務余力が小さく 
政府の支援次第…「練り直さねば」
双龍自動車の大株主、インドのマヒンドラグループが大規模投資計画を撤回し、韓国社会に衝撃を与えている=双龍自動車提供//ハンギョレ新聞社

 双龍(サンヨン)自動車の筆頭株主であるインドのマヒンドラグループは、同社の筆頭株主としての地位を事実上放棄するという意思を明らかにし、双龍車に独力による生存を求めた。同グループは、双龍車の資本拡充のために当初2300億ウォン(約202億円)を投じることにしていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散など対外環境の悪化により同計画を維持するのは困難との理由からだ。5000人の雇用を抱える双龍車は、2011年のマヒンドラによる買収以来わずか9年で、再び破産か再生かの岐路に立たされた。

双龍自動車の主な経営情報//ハンギョレ新聞社

 マヒンドラによる双龍車支援計画の再調整案が国内に伝えられたのは、今月3日夜11時頃だ。このニュースを伝えた主体は双龍車ではなく、マヒンドラグループが最近契約を結んだ韓国の広報代理店だった。双龍車を経ない異例の発表形式に劣らぬほど、内容も衝撃的だった。

 「(マヒンドラは特別取締役会を開き)COVID-19で打撃を受けた事業部門に対する資本配分策を議論した。現在と将来の現金の流れを考慮し、双龍車に新規資本は投入できないという結論を下した。ただし、双龍車が代案を模索する間の事業運営のために、今後3カ月間に最大400億ウォン(約35億1000万円)の一回限りの特別資金を投入する」。筆頭株主(持ち株比率74.7%、昨年12月末現在)としての責務を放棄するという趣旨だ。

 当初マヒンドラは、昨年数百億ウォンの追加出資に踏み切ったのに続き、今年2月ごろに取締役会を開き、双龍車の持続可能な発展のため2300億ウォンの資金支援策を打ち出すとともに、同規模の支援を行うよう産業銀行に要請していた。マヒンドラが立場を変え、双龍車に独力での生存を求めた背景には、双龍車を率いてゆくには力不足な状況にまで追い込まれているマヒンドラの内部事情がある。マヒンドラはIT、金融、宇宙など様々な領域に進出しているが、その中心は総売り上げの96%を占める自動車と農機具の事業だ。その売上の大半がインドの内需市場でのものだ。

 問題は2016年以降、インド経済の成長の勢いが著しく衰えていることだ。インドの経済成長率は毎年1ポイントずつ下がり、昨年第4四半期には4%にまで下がった。泣き面に蜂で、COVID-19の拡散でマヒンドラの経営はさらに困難さを増している。アジア開発銀行(ADB)は最近まとめた報告書で、「今年の年間成長率は4%程度にまで下がるだろう」との見通しを示した。ムーディーズの子会社ICRAは第1四半期の成長率を2.4%と見込んでいる。ロイターなどの外信は先月、マヒンドラのインドでの自動車販売が昨年同月比で88%減少したと伝えている。

 マヒンドラにとって、双龍車が利益を出してくれる系列会社でもなかったことも、今回の決定の背景と見られる。双龍車は、マヒンドラに買収されてから8年の間、2016年の1年間を除き、全て営業損失を出している。昨年の営業損失規模は2800億ウォン(約245億円)ほどだった。

 マヒンドラなどの追加支援がなければ、双龍車の独力での生存は容易ではない。昨年12月末現在、会社が保有する現金性資産は1200億ウォン(約105億円)で、昨年1年間に従業員の給与として支給された支出(4300億ウォン、約377億円)の3分の1にも満たない。今年中に満期が到来する借入金だけで2540億ウォン(約223億円)に達する。車の販売が急激に伸びない以上、流動性危機は避けられない。双龍車の販売量(半組立品含む)は今年に入って3カ月連続で昨年同月より30%前後減少している。

 専門家らは、マヒンドラに代わる新たな投資家が登場するか、メインバンクである産業銀行が債権の株式への転換や資本拠出などにより大株主にならない限り、これといった突破口を見つけるのは難しいと見ている。双龍車の運命は政府にかかっているということだ。

 政府の高位関係者はハンギョレの電話取材に対し「産業銀行は当初、マヒンドラによる追加出資を前提として双龍車の支援策を模索していた。(状況が変わったことから)練り直さねばならない状況だ。債務償還までまだ時間があるため、考える時間はある」とだけ述べた。ただし、この関係者は「(COVID-19による経済ショックで)今後、双龍車のような困難に直面する大企業が続出するだろうが、その度に産銀が支援するのが望ましいのかも探らねばならない」と付け加えた。昨年末現在で双龍車の役員と従業員(社外取締役を除く)は5040人だ。

キム・ギョンラク、パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/935699.html韓国語原文入力:2020-04-05 17:46
訳D.K

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