韓国の感染症診断手法が広がりを見せている。感染症診断技術が国際標準として認められ、世界各地から韓国製の新型コロナウイルス(COVID-19)診断キットの支援要請が殺到しているのだ。主要国がCOVID-19の拡散に苦しんでいる状況で、韓国製診断キットの普及は政府の外交力の強化にも一役買っている。韓国の医療機器メーカー各社の海外市場への進出にも青信号が灯っている。
産業通商資源部国家技術標準院と食品医薬品安全処は29日、「微生物病原体検出のための遺伝子増幅検査技法」が最近、国際標準化機構(ISO)医療機器技術委員会で国際規格案(DIS)として承認されたと明らかにした。この検査技法は、COVID-19を含め多様な感染症診断に使用できる核酸増幅方式の体外診断検査の手順と方法を定義したもの。国内でCOVID-19診断キットに用いられているリアルタイム遺伝子増幅技法など、核酸増幅方式の検査に用いられている技法だ。国際標準制定手続きにより、この規格案は最終的に加盟国全体の承認手続きを残すのみとなっており、異変がない限り年内に国際規格に定められる予定だ。
今回の事例は、韓国の技術で開発された感染症診断キットが世界基準として位置づけられることになるという点で、少なからぬ意味を持っていると評価できる。この10年あまり、国家技術標準院や食薬処などの政府機関や医療機器業界は協業し、診断技法を地道に開発してきた。産業通商資源部バイオ化学サービス標準課のチェ・ソンファ研究士は「韓国のCOVID-19診断の力量が世界各国の関心を集めているのは、国内の感染症診断技術の正確度と信頼度が土台になっているため。米国、ドイツ、日本など主要国の専門家が参加する国際機関においても、我々が提案した技術技法を皆が認める雰囲気」と述べる。COVID-19拡散で非常事態に陥っている主要国は最近、韓国政府に先を争って診断キットの支援を要請している。カン・ギョンファ外交部長官は28日午後、インドネシアのレトノ外相の要請で電話会談を行った。レトノ長官は、「インドネシアでCOVID-19が急激に拡散し、診断キットなどの防疫物資が不足している」として支援を要請した。これに対しカン長官は「余力ができ次第、最大限支援する」と約束した。インドネシア政府は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の核心対外戦略の軸の一つである「新南方政策」の中心国だ。
現在、COVID-19診断キットなど韓国の防疫物資を供給してほしいと政府レベルで要請してきた国は81カ国。民間も合わせると117カ国に上る。政府は「COVID-19防疫物資海外進出支援関係省庁TFT」を設置し、支援策などについて協議している。相手国の保健需要、経済的実益、韓国の対外政策などを総合的に考慮して、商業的輸出または援助により外交的協力を行っていく方針だ。
最優先の考慮対象は韓国の唯一の同盟国である米国だ。外交部の関係者は「ドナルド・トランプ米大統領も(診断キットなどを)韓国に要請してきている。韓米同盟の観点から米国は韓国に対して入国禁止措置を取っておらず、通貨スワップ協定も結んでいるので、韓国も相応の措置が必要」と説明した。外交部は最近、COVID-19診断キットの韓国の生産企業3社の製品が米食品医薬局(FDA)緊急使用承認手続き上の事前承認を得たと発表した。
すでに政府は「原発協力」を含め、各種方面で様々な協力が行われているアラブ首長国連邦(UAE)に対し、診断キットの供給に積極的に協力することにしている。さらにルーマニアに対しては、すでに2回にわたり韓国製防護服や診断キットを北大西洋条約機構(NATO)の輸送機で空輸している。感染症診断技術が外交的信頼関係を高める触媒の役割を果たしているという評価がなされている。