抗原抗体検査は精度が低いため、未承認
遺伝子増幅検査より時間は短縮できるが、
精度は50~70%で混乱拡大
検体を混ぜて診断する「混合検査法」
個別と差はない…最大32名可能
トランプが言及した「45分診断法」も
精度90%以上…米FDA承認
新型コロナウイルス(COVID-19)に関する情報があふれ、診断検査法を伝えるメディア報道やインターネット情報の量も増えているが、同時に歪曲された内容も広がっている。COVID-19の治療法と同様、検査法においても「インフォデミック(情報感染症の拡散。ニセ情報が広がる現象)」を懸念する声が高まっている。韓国に広まった主張を診断検査医学界に問い合わせ、検証してみた。
■「10分で判定」診断キット、過度な規制のせいで韓国では使えない?
半分だけ正しい。政府が10~20分以内に結果が出る診断キット(抗原・抗体キット)を国内用に承認しなかったのは正しい。現在開発されているCOVID-19検査法は抗原抗体検査法、分子診断検査法など。保健当局は分子診断法のリアルタイム遺伝子増幅法(RT-PCR)キットのみ承認し、抗原抗体キットは承認しなかった。国内で承認された診断キットは検査結果が出るまでに3~6時間かかる。一方、抗原抗体診断キットの開発会社は、検査時間を10~20分に短縮できるとし、国内でも使用できると説明する。
それでも保健当局が抗原抗体キットを承認しなかったのは、検査精度が低いからだ。診断検査医学界は、このキットを使った検査の精度が50~70%程で、95%以上のリアルタイム遺伝子増幅検査よりも不正確だと見ている。延世大学セブランス病院(診断検査医学科)のイ・ヒョンミン教授は「抗原抗体診断は誤診の可能性が高いため、現在の隔離・治療のためには十分ではない」と述べた。
■COVID-19検体を混ぜて行なう検査は間違っている?
国防部が最近、大邱(テグ)・慶尚北道訓練所に入所した兵士4人の検体をまとめ、一度にCOVID-19検査を行った。これについて一部のメディアは「検体が汚染され、結果が不正確になる可能性がある」と報じた。
しかし、検体を混ぜて診断する「混合検査法」は間違ってはいない。大邱カトリック大学病院のチョン・チャンホ教授(診断検査医学科)は、「4人ほどの検体の混合なら、陽性と判定されるべき検体が陰性を示す可能性はない」と語った。2012年に米国臨床微生物学会の機関誌に掲載された論文によると、10個の検体を混合した検査は個別検査と精度の面で大きな差は示さなかった。中央防疫対策本部(防対本)のクォン・ジュヌク副本部長も24日のブリーフィングで「現在までのところ防対本で行なってはいないが、私たちの診断検査チームは最大32人まで一度に検査できると話している」と述べた。
■トランプが言及した「45分COVID-19診断法」精度低い?
米国食品医薬品局(FDA)は21日、45分で結果が分かるCOVID-19検査を承認した。ドナルド・トランプ米大統領もこの検査法に言及している。この検査法をめぐり、オンラインでは「精度が落ちる」という主張が出ている。
しかし、これはこの検査を抗原抗体診断法と誤認した主張とみられる。FDAが承認した「ジーンエキスパート」は分子診断法だ。精度は90~95%以上で、韓国で承認された検査法とあまり変わらないというのが専門家らの共通した意見だ。大韓診断検査医学会のクォン・ゲチョル理事長は、「救急患者など、早くCOVID-19かどうかを診断しなければならない患者に対して、補完診断法として有用だろう」と見る。現在、国内の保健所や病院など100カ所がこの試薬に合う装備を持っているという。