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韓米、「600億ドル」の通貨スワップ協定を締結

登録:2020-03-20 06:36 修正:2020-03-20 07:55
協定期間は最低6カ月 
ドルの確保が容易に 
韓国銀行「外国為替市場の安定に寄与」 
2008年の金融危機に続き2度目 
当時、ドル流動性への不安心理を緩和
総合株価指数(KOSPI)が1500ポイントを割り込み、ドルに対するウォン相場は1300ウォン近く値上がりするなど金融市場が乱高下した今月19日午後、ソウル汝矣島の国民銀行ディーリングルームにKOSPIやウォン相場などが表示されている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国銀行(韓銀)は19日夜、米中央銀行の連邦準備制度(FRB)と通貨スワップ協定を締結した。外国為替市場でドルの流動性不足が起こり、急激なウォン安ドル高が進んでいることを受け、韓米両国の交渉に拍車がかかったものと見られる。

 韓銀は同日午後10時、FRBと600億ドル規模の2国間通貨スワップ協定を締結すると公式発表した。韓銀は通貨スワップを通じて調達した米ドルを直ちに供給する計画だ。今回のスワップ協定期間は少なくとも6カ月(9月19日まで)だ。

 通貨スワップとは、マイナス通帳のようにいつでもドルを引き出して使えるようにする制度だ。通貨スワップ協定を締結した韓国と米国は、必要な場合、自国通貨を相手の中央銀行に預け、それに相応する外貨を借りることができる。ドルの確保がそれだけ容易になるという意味だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な大流行の影響でドル需要が集中し、10年8カ月ぶりにウォン安ドル高が急激に進んでいる中、米国との通貨スワップは外国為替市場の安定化に大きく役立つものと見られる。

 韓銀は報道資料で「最近急激に悪化したグローバルドル資金市場の梗塞(こうそく)の解消のため、通貨スワップ協定を締結した」とし、「最近ドルの需給不均衡で為替レートが急上昇している国内外国為替市場の安定化に寄与するだろう」と期待感を示した。韓銀は、「今後、主要国の中央銀行との協力を通じ、金融市場の安定化に向けた努力を続けていく計画だ」と付け加えた。

 今回の韓米間通貨スワップ協定は、2008年10月30日に300億ドル規模の通貨スワップ協定を締結して以来2度目。2008年当時は、グローバル金融危機の影響を受けて国内外の外国為替市場でドル流動性危機を巡る懸念が高まる中、電撃的に締結された。締結当時、2009年4月30日までの6カ月間の期間限定で適用される予定だったが、2009年2月4日に6カ月間延長したのに続き、6月26日にはさらに3カ月間延長し、2010年2月1日に終了した。当時、韓米間通貨スワップ協定により、ドル流動性への不安心理が緩和され、高騰していたドルに対するウォン相場も早いテンポで安定を取り戻した。ドルに対するウォンの相場は2008年8月末の1ドル=1089ウォンから協定締結当時は1ドル=1468ウォンまでウォン安ドル高が進んだが、契約終了時点では1ドル=1170ウォンまでウォン高ドル安が進んだ。

 韓国政府は公式にはまだ、COVID-19事態の衝撃が全般的な世界金融危機に拡大したり、韓国の外貨保有が危険レベルに達したわけではないとみているが、米国との通貨スワップが市場の不安を鎮める“特効薬”であるだけに、事態の悪化に備えた非常計画の一つとして積極的に検討してきた。これに先立ち、ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は17日、国会で「韓米通貨スワップは心強いセーフティーネットになるだろう」とし、「政府が内幕的に努力している」と述べた。

 米マスコミも韓国との通貨スワップの必要性を提起した。ウォールストリート・ジャーナル紙は17日付の記者コラムで、「ドル調達市場が止まるリスクを避けるためには、より広範囲な国に対する多くの支援が必要だ」とし、「2008年にFRBとブラジル、韓国の間にそれぞれ開設された臨時スワップラインが再び稼動する可能性があり、他の諸国に拡大する可能性がある」と見通した。

 現在、韓国銀行は1932億ドル以上の通貨スワップ協定を締結している。2国間通貨スワップはカナダ(事前限度なし)や米国(600億ドル)、スイス(106億ドル相当)、中国(560億ドル相当)、オーストラリア(81億ドル相当)、マレーシア(47億ドル相当)、インドネシア(100億ドル相当)、アラブ首長国連邦(UAE・54億ドル相当)の8カ国と結んでいる。多国間通貨スワップ(CMIM)はASEAN+3カ国(384億ドル、13カ国)と締結した。

 韓国にとっては、日本との通貨スワップ協定も市場の安定に役立つと見られるが、現在の両国の外交的状況を考慮すれば、その可能性は低い。韓日は2001年に初めて通貨スワップ協定を締結したが、独島(日本名・竹島)問題などで両国関係が悪化し、結局2015年に完全に中断された。

 一方、米FRBは同日、韓国以外にもデンマークやノルウェー、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコ中央銀行やシンガポール通貨庁とも同時にスワップ協定を締結すると発表した。AP通信によると、FRBは同日、韓国など9カ国に対する通貨スワップの新規締結を発表し、「グローバルドル調達市場で(ドル確保における困難のような)圧迫を緩和するのが目標」だとし、「これを通じて、各国が家計と企業に国内と国外の両方からドル調達の困難を減らすことができるだろう」と述べたという。同通信はまた、COVID-19の大流行で各国で“グローバル現金確保戦争”が起きている中、FRBが電撃的に通貨スワップ締結の拡大に乗り出したと報じた。

ハン・グァンドク、イ・ギョンミ、チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/933400.html韓国語原文入力:2020-03-2002:10
訳H.J

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