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「韓国、福祉中心の財政支出で国民の将来への不安解消を」

登録:2019-12-04 04:07 修正:2019-12-04 08:15
国連貿易開発会議(UNCTAD)のリチャード・コズル=ライト部長インタビュー

「高齢化危機迫る韓国 
年金など状況に応じた財政拡大が必要 

財源調達の増税困難なら 
短期借入を増やして積極的な財政政策を 

政府積極的分配・グリーン投資で 
経済成長・税収増の好循環を」 

所得主導成長特別委の国際カンファレンスで 
持続可能な成長政策を提案

国連貿易開発会議(UNCTAD)のリチャード・コズル=ライト部長が2日夕方、ソウル三成洞のインターコンチネンタル・コエックスホテルでハンギョレのインタビューに応じている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 「肝心なのは合理的で適切な財政拡大です。韓国は最低賃金の引き上げに集中していたと認識していますが、福祉に焦点を当てた財政支出によって未来への不安を解消してはどうかと思います」。

 世界経済の格差の解消を目指す国際機関である国連貿易開発会議(UNCTAD)グローバル化・発展戦略部長のリチャード・コズル=ライト氏が、韓国の所得主導成長政策のアップグレードのために、2日に提示した助言だ。彼は、所得主導成長特別委員会が3日に主催した「世界から見た韓国の所得主導成長」と題する国際カンファレンスで、基調演説をするために初めて韓国を訪れた。英ケンブリッジ大学経済学博士の彼は、同大のチャン・ハジュン教授とともに韓国の経済開発モデルを研究した経験もある。ハンギョレはカンファレンスの前日、韓国の所得主導成長方針に対する評価と世界経済の懸案を聞くために彼にインタビューした。

 彼は発表のテーマと関連して「2009年の世界金融危機以降、国際経済には4つの傾向が現れている」として、労働所得分配率の減少、緊縮政策による公共支出の縮小、企業の生産的な投資の忌避、グリーン投資の失敗による二酸化炭素の増加を挙げた。そして、「これらは韓国にも当てはまる部分があると思う」と語った。

 このような現象が起こる根本的な原因としては、国際経済の基本構造がますます不平等になり、不安定さを増すやり方で設計されていることを指摘した。特に、金融市場があまりにも強い力を持ち、株価上昇や住宅価格の高騰のような短期利益を生み出すため、負債を増やし投資を阻害する構造が固定化していると懸念する。彼は「2008年の世界金融危機以降、このような構造が変わるものと期待したが、この10年間不平等を拡大する金融危機の根源的な挙動が繰り返された。(世界経済の不安定性拡大は)ドナルド・トランプ米大統領やボリス・ジョンソン英首相のような特定の人物の問題ではない」と語った。

 コズル=ライト部長は、高齢化危機の迫る韓国には、年金や福祉などに対する状況に応じた財政拡大が必要だと述べる。「韓国はこれまで最低賃金の引き上げに焦点を当てていたと認識している。最低賃金引き上げだけに頼る所得主導型の成長政策ではなく、他の再分配方法、特に福祉に焦点を当てた財政支出政策をとり、国民の将来への不安を解消してはどうかと思う」。

 彼は、特に公共投資は持続可能な経済に移行するために必要な所へ集中すべきと強調した。新再生エネルギーや持続可能な交通手段などのグリーン投資や、高齢社会に備えた「ケア経済」のための投資を具体的な例として挙げた。

 財源調達策として増税が困難な場合、低金利を利用して政府が短期的に借り入れを増やし、積極的な財政政策を展開してもよいと同氏はいう。同氏は「国連の世界政策モデルの推定によると、すべての国で財政支出よりも国内総生産発生規模の方が大きい」とし、現行の租税体系を無理して変えなくても、政府支出を増やして経済を成長させ、税収が増加する好循環を生み出すことを目標にした政策を展開できると述べた。

 コズル=ライト部長は、政府の積極的な分配努力とグリーン投資が順調に行われた例として、ドイツのベルリンとデンマークのコペンハーゲンを挙げた。「自治体が社会的賃貸住宅の提供などにより(階層間の)公平性を高めている。住宅問題にはソウルも共感すると思う。中国も太陽エネルギーによって立ち遅れた地域を発展させている」とし、「市場中心の経済の枠組みにおいて、まだ国家レベルの政策導入努力は足りないが、地域・分野によっては変化が進んでいるのは明らかだ」と述べた。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/919471.html韓国語原文入力:2019-12-03 18:34
訳D.K

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