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韓国政府、対日戦略物資輸出規制で日本に対抗…観光・食品安全カードを取り出すか

登録:2019-08-05 06:59 修正:2019-08-05 15:36
日本だけ「ハ」地域に分類 
輸出審査を厳しく規制 
 
観光や食品、廃棄物の分野では 
非関税障壁の活用も検討 
検疫と安全検査も強化される見込み 
 
韓国企業への被害最小化しながら 
“ブーメラン”を避ける繊細な対応がカギ
李洛淵首相が4日午後、国会で日本のホワイト国排除措置に対する対応策を議論するために開かれた党・政・大統領府協議会で発言している。右はイ・ヘチャン民主党代表、左はホン・ナムギ経済副首相兼企画経済部長官=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 政府が今月3日、日本をホワイト国(輸出審査優待国)から除外するなど、「経済的な相応の処置」を取る方針を公式化したことで、具体的な対応策に関心が集まっている。政府は戦略物資のほか、観光や食品、廃棄物の分野における対応策も検討しているが、韓国政府や企業にとってブーメランにならないよう、実質的かつ繊細な対応の必要性が指摘されている。

日本のホワイト国除外に対する韓国政府の対応戦略//ハンギョレ新聞社

 まず、「ホワイト国からの排除」は、戦略物資に対し、韓国も日本により厳しい輸出審査を行うということだ。現在韓国はワッセナー・アレンジメントなど4大戦略物資国際統制体制に加盟した29カ国を「イ」地域に編成し、同地域に戦略物資を輸出する韓国企業に対し、簡略化した輸出審査を行っている。「イ」地域以外はすべて「ロ」地域に分類され、同地域に輸出する企業は、政府から3年の包括許可を受けることができないうえ、個別の許可を受けなければならない。また、「イ」地域の輸出は許可申請書と戦略物資判定書を提出すればいいが、「ロ」地域への輸出は契約書や誓約書など追加提出書類も増える。「ロ」地域への輸出は、非戦略物資であるものの、武器の製作や開発に転用される恐れがある場合に適用される「キャッチオール」(Catch-all)規制もより厳しく、転用への意図が“疑われる”だけでも、キャッチオールの申請が求められる。政府は現行の戦略物資輸出入告示第10条を改正し、「ハ」地域を新設して、日本を含ませる案を検討しているが、日本について少なくとも「ロ」地域とほぼ同じか、さらに厳しい規制を行う方針であると見られる。

 政府は戦略物資のほか、「非関税障壁」を活用するカードも検討している。ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は3日、「国民の安全と関連した事項は観光や食品、廃棄物などの分野から(日本に対する)安全措置を強化していく計画」だと発表した。具体的な方策は明らかにされていないが、業界では日本産食品や廃棄物の輸入に対する規制を強化する可能性が取り沙汰されている。これに先立ち、福島県産水産物の輸入制限措置を他の日本産農水産物へと拡大したり、検疫や安全検査などの通関手続きを強化しうるということだ。国内のセメントメーカーが輸入する日本の火力発電所の廃棄物に対する規制強化も検討されているという。

 問題は、輸出入統制を通じて日本に実質的な打撃を与えられるかどうかにある。業界では、国内の競争力が日本を上回っている半導体や5G、ディスプレイなどが、いわゆる“報復品目”に挙げられているが、主力輸出品に対する統制は、国内の対日本輸出企業の費用と損失をさらに大きくしかねない。韓国企業の輸出入への支障による被害が、日本企業に比べて大きな“非対称性”が大きい状況であるためだ。

 また、法制度上の根拠と状況論理が明確でなければ、日本と国際社会からのブーメランに遭う恐れもある。「国民の安全」のために輸出規制を強化することが、「安保上の理由」を掲げた日本の主張とは異なり、明白な根拠と説得力を提示できるかという問題だ。ある業界関係者は「日本が特別な安保上問題がないにもかかわらず輸出規制を強化したのは自由貿易秩序違反だという韓国政府の根拠を、自ら損なう結果をもたらす可能性もある。企業の被害を最小限にとどめながらも、日本には少なからぬ影響を及ぼす繊細な制度を設計できるかどうかがカギとなるだろう」と話した。

チェ・ハヤン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/904484.html韓国語原文入力:2019-08-04 22:29
訳H.J

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