本文に移動
全体  > 経済

「中国から借りた莫大な金とドル債務で、新興国発金融危機がまた到来」

登録:2019-06-04 08:44 修正:2019-06-04 15:21
ハーバード大学のラインハート教授「韓国銀行国際カンファレンス」基調講演 
アジア・アフリカ・南米に「隠れた負債」 
低所得の新興経済全般に感染する可能性 
 
低金利に陶酔した企業・投資家 
過度なリスク追求によるバブルに 
世界貿易の減少が重なり、状況は深刻 
 
低い政策金利・急増した負債のせい 
通貨・財政対応の余力は使い尽くされ 
「今回は違うだろう」という楽観を警戒すべき
今月3日、ソウルのウェスティン朝鮮ホテルで開かれた韓国銀行主催の「2019年国際カンファレンス」で、基調講演を行うカーメン・ラインハート・ハーバード大学経済学教授=韓国銀行提供//ハンギョレ新聞社

 「金融危機再発の危険が過小評価されている」

 グローバル金融危機直後の2009年『国家は破綻するー金融危機の800年』(原題:This time is different)という本を通じて「金融危機は時代や地域を問わず、過去と類似した様相で繰り返される」と主張したハーバード大学のカーメン・ラインハート教授(経済学)が、最近の世界経済について投げかけた警告メッセージだ。

 ラインハート教授は3日、ソウル中区(チュング)のウェスティン朝鮮ホテルで開かれた「2019年韓国銀行国際カンファレンス」(テーマ:グローバル経済の連携性)の基調演説で、「最近各国の家計・企業・公共部門に存在する莫大な規模の『隠れた負債』と市場で企業・投資者の過度なリスク追求を好む行動がグローバルリスクに広がっており、世界貿易の減少傾向まで深刻だ」とし、「政策当局と市場参加者たちは、今回は違うだろう(危機は到来しないだろう)と楽観してきた態度を警戒しなければならない」と話した。

 ラインハート教授は「世界経済が拡張局面を終え下降局面に入る場合、『すでに非常に低い』政策金利の下で景気鈍化の対応に必要な政策手段の余力がほとんどない状態」だと診断した。通貨政策だけでなく、財政政策への対応手段もほとんど使い尽くしている。また「金融危機後に急増した各国の政府負債が依然として高い水準であり、活用する財政余力も減退している」とし、「かつては米国の双子の赤字(貿易・財政赤字)が関心事だったとすれば、今は政府負債の増加とともに民間での借入調達による証券投資が危険要因として登場している」と述べた。新興国側の危険要因としては、景気対応と為替政策をめぐる中国人民銀行の政策選択ジレンマ▽新興国の過多負債▽中国から大規模国外借入を行ってきた低所得国家の貸付負債の悪化を挙げた。ラインハート教授は「中国は景気浮揚のための通貨緩和か、人民元の価値を維持するための通貨緊縮かというジレンマに直面している」とし、「中国が金融危機以降、アジア・アフリカ・南米の新興国に貸した莫大な融資額も『隠れた負債』として残り、債務不履行の危険が新興国全般に感染する恐れがある」と主張した。また、新興経済は中国発負債のほか、これより大規模な「ドル負債」を抱えていると語った。最近のドル高により、新興国のドル建て負債が増加し、「海外債務発金融危機」が到来する可能性があるという警告だ。

 ラインハート教授は特に、投資家など市場参加者らが依然として低金利に陶酔したまま、リスク追求を好む行動を見せており、負債バブルを拡大させていると指摘した。また「米国が政策金利の引き上げに乗り出したにもかかわらず、家計など民間のローン借入額指標など金融条件は依然として緩んでいる」とし、「償還不履行の危険が大きい高収益社債と、相対的に安全な米国債金利の間の金利格差が大きく縮まっている」と述べた。企業部門のリスクが過小評価されているということだ。同氏は「米国の企業負債が最近、低信用企業を中心に増加しており、これは金融危機当時、サブプライム市場に現れた投資家のリスク追求現象と似ている」とし、「解決できないまま依然として続いているアジアなどの『負債経済』は、経済的、政治的脆弱性が複合的に働けば実際の危機につながる可能性がある」と述べた。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/896490.html韓国語原文入力:2019-06-03 18:56
訳M.C

関連記事