65日間定期点検を受け、先月21日に再稼働した慶尚北道蔚珍(ウルチン)の原子力発電所「ハンウル4号機」が、主要な部品が故障したまま、ひと月以上稼動されたことが分かった。特に原子力安全委員会(原安委)と韓国水力原子力(韓水原)がハンウル4号機再稼動直後、部品の故障の事実を知りながらも、稼動を続け、運転状態で整備を試みたが失敗して、31日に結局手動で再び停止させることにしたことが明らかになった。
これに先立ちハンウル4号機が原安委の再稼働の承認を受けた7月中旬は、一部のマスコミと政界が「文在寅(ムン・ジェイン)政府の脱原発政策のために電力供給が不足した」など事実と異なる主張を盛んに繰り広げた時期だ。韓水原がこれを意識してハンウル4号機再稼動直後、主要部品の異常を発見したにもかかわらず、適切な時期に原発を止めなかったのではないかという疑念の声があがっている。
30日、原安委と韓水原の説明を総合すると、ハンウル4号機は貯蔵タンクにある水を格納建屋内の蒸気発生器に送る主給水ポンプ3個のうち、1個につながったバルブがきちんと開かない問題で、30日間稼動停止の手続きに突入した。再稼動開始当時からバルブの異常で「2番タービン式ポンプ」を使用できない状態であり、このために韓水原は残りの2個(1番タービン式ポンプ、3番モーター式ポンプ)だけを使用してひと月以上原発を稼動してきた。韓水原の関係者は「平時には3つのポンプのうち2つだけ使用して、残りの1つはバックアップ用」だとし、「1つが壊れても2つのポンプで100%原発出力が可能だ」と話した。韓水原は、原発稼動状態で障害が発生したバルブの方の油圧を高めて問題を解決しようとしたという。
しかし、原発の安全を優先するならば再稼動初期の部品の故障の事実を発見し次第、停止させて整備すべきだったという指摘が出ている。主給水ポンプから蒸気発生器に送られる水は、電気を生産するタービンを回す蒸気を作りだす用途で使われるだけでなく、原子炉を冷やす冷却水の役割もする。稼動の過程でもう1つが壊れたならは、十分な冷却のために補助給水ポンプを急いで稼動したり、原発出力を下げなければならない。原安委関係者も「主給水ポンプは故障時に発電停止を誘発しうる設備」だと説明した。
原安委も韓水原側の「稼動中に整備可能」という説明だけを聞き、31日までバルブ問題を解決せよと要求した。原安委関係者は「整備が可能だというので時間を与えたのだが、結局韓水原が期限内に問題を解決できないとして、原子炉を手動停止させると報告した状況」だとし、「今回は問題点を正確に把握して、韓水原の再発防止対策など処置が適切と判断されるまで再稼動を承認しない」と説明した。
原発の安全専門家であるハン・ビョンソプ原子力安全研究所所長は「今の状況は5月に始まったハンウル4号機の定期検査(計画予防整備)がまだ終わっていないということを示すもの」とし、「早急に処理をして、1カ月以上故障状態の原発を稼動していた」と指摘した。実際、ハンウル4号機が再び停止しても電力需給には問題が生じない状況だった。最大電力需要が9247万キロワットでもっとも多かった先月24日、もしハンウル4号機が停止したとしても予備電力は原発6基分の600万キロワットに達し、電力需給は正常状態を維持した。