慶尚北道慶州(キョンジュ)で1983年に商業運転を開始した老朽原発である月城(ウォルソン)1号機が早期閉鎖される。昨年6月、釜山の古里1号機の閉鎖に次ぐ二番目の老朽原発の閉鎖だ。新たに建てる計画だった新規原発6基のうち4基も、事業の推進が中止された。
韓国水力原子力(韓水原)は15日、ソウルグランドヒルトンホテルで理事会を開き、月城1号機の閉鎖とチョンジ・テジン原発の事業終結を決定したと明らかにした。これは政府の脱原発・脱石炭エネルギー転換ロードマップによる後続措置だ。政府は昨年10月、「老朽原発の寿命延長不許可・新規原発の白紙化」を骨子とするエネルギーロードマップを発表し、昨年末には第8次電力需給基本計画を発表し、月城1号機の設備容量(0.68ギガワット・最大供給可能電力量)を今年の供給計画から抜いた。
月城1号機は、2012年に設計寿命(30年)が終わった代表的な老朽原発だ。日本の福島事故後に強化された原発の安全基準(耐震設備6.5以上など)を満たしていないという指摘が多かったが、原子力安全委員会(原安委)は2015年に「10年の寿命延長」を決定し、問題になった。当時原安委が、韓水原が寿命延長の承認を受けるために5600億ウォンをかけて強化した設備等について安全性評価を行った後に延長を決定すると、市民団体と地域住民らは「決定過程と評価方式が適法ではない」とし、訴訟を起こした。昨年2月、ソウル行政裁判所は原告勝訴判決を下したが、原安委が控訴し、2審裁判が進行中だ。
韓水原はこの日、月城1号機の閉鎖の理由として「経済性不足」も挙げた。月城1号機は繰り返された安全設備の補強と低い稼働率のため、発電単価が昨年末基準で120ウォンであり、販売単価(60ウォン)の2倍に上る。チョン・ジェフン韓水原社長は「2016年の慶州地震の後、月城1号機の稼働率は40%台に下がり、今でも(整備のために)停止している」とし、「月城1号機はすでに赤字発電所」だと説明した。
月城1号機の閉鎖が電力需給に影響を与える可能性はなさそうだ。今年の供給計画から月城1号機を除外してあるうえに、昨年末基準でも月城1号機の設備容量の割合は全体の原発設備容量(22.5ギガワット)の3%にすぎないからだ。さらに、月城1号機を閉鎖してもシンハンウル1・2号機と新古里4・5号機原発が相次いで竣工されるため、2022年の全体原発設備容量は27.5ギガワットに増える。
韓水原は、月城1号機を止めた状態で、近いうちに原安委に「永久停止のための運営変更許可申請」をすると明らかにした。韓水原側は「設計寿命満了に合わせて閉鎖した古里1号機と異なり、月城1号機は3年前に原安委から受けた継続運営許可を永久停止に変えてほしいと要請するため、手続きが複雑だ」とし、「永久停止許可を得るまでに2年程度かかると見ている」と話した。韓水原は永久停止の承認を受けた後、古里1号機の時のように、月城1号機の「解体計画書」を作成して政府承認を受けなければならず、その後に15年以上かかる燃料搬出・設備解体・敷地の復元などの作業を行うことになる。
この日、韓水原はチョンジ・テジン原発事業の白紙化で発生する損失に対して、政府に補償を求めることを明らかにした。チョンジ1・2号機は、慶尚北道盈徳(ヨンドク)に、テジン1・2号機は江原道三陟(サムチョク)に建設される予定だった。韓水原が昨年、事業中断の時まで敷地の一部購入や設計などに使った金額は約3400億ウォン(約342億円)規模だ。