文在寅(ムン・ジェイン)政権が来年の予算案を470兆5千億ウォン(約47兆1千億円)規模で編成した。今年より財政支出を9.7%、41兆7千億ウォン(約4兆8千億円)増やすことで、世界金融危機直後の2009年を除けば、2000年以降最も高い水準だ。雇用創出と両極化解消、少子化対策など当面の構造的問題を解決するため、財政を拡張的に運用するという意志が盛り込まれた。最近の景気減速や雇用低迷などの状況とも相まって、政府が従来より積極的に国の財政を運営していく計画を打ち出したのだが、依然として短期的な税収好調に依存する側面が大きく、中長期福祉の拡充などには限界があると指摘されている。
政府は28日の国務会議を開き、このような内容を骨子とした「2019年度予算案」を確定した。来年の財政支出の増加率9.7%は、2009年の10.6%以来最高値だ。政府は増える予算を雇用創出と革新成長などの経済活力の強化や所得分配の改善およびセーフティーネットの拡充、国民生活の質の改善、国民が安心できる社会の実現に重点的に投資する計画だと明らかにした。来年の総収入は481兆3千億ウォン(約48兆2千億円)で、1年前より7.6%増える見通しだ。この中で国税収入は今年より11.6%(31兆2千億ウォン)増えた299兆3千億ウォン(約30兆円)になるものと予想された。
来年度の予算は福祉分野に多く使われる。政府は来年の福祉分野(保健・福祉・労働)に今年より12.1%増額した161兆2千億ウォン(約16兆1500億円)を割り当てた。今年の福祉予算は当初、政府予算案基準では前年度に比べ増加率が12.9%だったが、国会で一部削減され、11.7%になった。福祉分野予算の中でも雇用予算が23兆5千億ウォン(約2兆4千億円)で、一年前より22%増えた。構造的な雇用不足に加え、最近の雇用低迷が影響を及ぼしたものと見られる。今年大幅に削減された社会間接資本(SOC)予算は今年(19兆ウォン)より2.3%減少した18兆5千億ウォン(約1兆9千億円)だ。政府は地域経済と雇用に及ぼす影響を考慮し、当初の今年の政府案(17兆7千億ウォン)よりは増額したものだと明らかにした。
財政支出の大幅な増加にもかかわらず、財政収支や国家債務に与える影響は制限的だ。国内総生産(GDP)における財政収支は今年-1.6%(本予算基準・補正予算の基準は-1.7%)から来年は-1.8%で、赤字幅がやや増える。GDPにおける国家債務の比重は今年39.5%から39.4%に、むしろ低くなる。最近の税収増加により、支出を増やしたにもかかわらず、赤字幅を抑えられるようになったわけだ。
政府は任期中、拡張的な財政運営に乗り出すと明らかにした。この日政府が発表した「2018~2022年国家財政運用計画」によると、2022年まで年平均財政支出の増加率が7.3%に達する。ただし、専門家らは安定的な税収拡充計画が伴っておらず、政府の財政投資計画が国民の政策の実感度を高めるには十分でないと指摘している。チョン・セウン忠南大学教授(経済学)は「全体的に進展した側面があるが、現在韓国社会が直面した構造的問題を考慮すると、さらに特段の対策を樹立し、積極的な財政拡充計画が伴わなければならない」と話した。