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[ニュース分析]「経済チーム、進退を賭けるべき」…文大統領、最後通告

登録:2018-08-21 06:11 修正:2018-08-21 07:39
チャン経済室長とキム経済副首相に雇用対策を指示 
「雇用状況良くない分野と年齢に集中」  
「重く受け止める」政府の責任を認める 
 
所得主導の成長批判論には線を引く 
「人口や産業構造など困難な要因も」
文在寅大統領が今月20日午後、大統領府で開かれた首席・補佐官会議に出席し、挨拶をしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が20日、最近の「雇用低迷」と関連して政府の責任を認めた。また、最近“足並みの乱れ“が論議を呼んだ大統領府と政府に対し、「職を賭ける決意」で総合対策をまとめるよう指示した。雇用の悪化による民心の離反を警戒すると共に、状況が好転しない場合は、経済政策のツートップであるチャン・ハソン大統領府政策室長とキム・ドンヨン経済副首相兼企画財政部長官に責任を問うという強力な意志を示したものとみえる。

 文大統領は同日、大統領府で開かれた首席・補佐官会議の冒頭発言で「雇用状況が改善されておらず、むしろ悪化する様子を見せていることを重く受け止めている」とし、「政府は雇用危機の解消のため、良い働き口を増やすことを国政の中心に置いて財政と政策を運営してきたが、結果的には不十分だったことを認めざるを得ない」と明らかにした。文大統領がこの数カ月間にわたり低迷が続いた雇用状況と関連し、「政策的責任」について言及したのは今回が初めてだ。

最近5年間の就業者数増減および雇用率//ハンギョレ新聞社

 文大統領は就任初日、大統領直属の雇用委員会の構成を「第1号業務指示」にし、執務室に「雇用現況掲示板」を設置するなど、雇用問題を文在寅政権の最優先国政課題として強調してきた。しかし、雇用状況は悪化を続けており、統計庁が今月17日に発表した「7月の雇用動向」によると、先月の就業者は前年に比べて5千人の増加にとどまったことがわかった。これは世界金融危機の余波が続いていた2010年1月、1万人の減少を記録して以来、8年6カ月ぶりに最も低い水準だ。政府与党と大統領府は前日「雇用ショック」対策会議を開いたが、チャン・ハソン室長とキム・ドンヨン副首相の意見の食い違いが露呈しただけという評価を受けた。

 短期間で雇用事情は好転する兆しが見えない中、政府の経済政策が信頼を失い、結果的に民心が背を向けた場合、国政運営の動力を失いかねないという危機感も作用したものとみられる。

 ただし、文大統領は、最近の雇用悪化が急激な最低賃金の引き上げなど、所得主導の成長政策のためという一部の批判には線を引いた。彼は「雇用状況が良くなる分野と年齢がある一方、雇用状況が悪化し続ける分野と年齢がある。人口や産業構造調整、自動化とオンラインショッピングのように、直ちには解決できない構造的要因もある」と述べた。

 実際、統計庁の「7月の雇用動向」によると、就職年齢層の20代後半の若年層(25~29歳)と老人(65歳以上)の雇用率はそれぞれ71%、33.1%で、1年前より1.8%ポイントと0.6%ポイント上がった一方、40代(79.1%)と50代(75.5%)は0.7%ポイントと0.1%ポイントずつ下がった。雇用環境が急速に悪化し始めた今年2月以降、このような傾向が続いている。業種別では、政府の財政投入が即座に効果をもたらす保険業や社会福祉サービス業、公共行政などの就業者数は、1年前よりそれぞれ7.7%(14万9千人)、6.1%(6万6千人)増えた。業況が良好な情報通信企業と金融・保険業も8.8%(6万8千人)、8.6%(6万7千人)増加した。このような業種で就業者が増えたことは、若者層と高齢層の雇用率を引き上げるのにある程度貢献した。一方、伝統的な主力産業の製造業は7月に-2.7%(12万7千人)、卸し・小売り業は-1%(3万8千人)、そして宿泊・飲食店業は-1.8%(4万2千人)就業者が減少した。造船業と自動車産業のリストラや自動化、オンラインショッピングの拡大などが影響を及ぼした。建設業も1.8%(3万7千人)増加して、例年より増加の勢いが鈍化した。製造業とサービス業、建設業の不振は40~50代の雇用事情を悪化させた要因でもある。

 これと共に、文大統領は「雇用状況が難しい分野と年齢について、さらに多様で強力な対策を用意せよ」と経済チームに指示し、積極的な財政政策を求めた。今年と来年度の税収の見通しが良いだけに、増えた税収を十分に活用すべきということだ。彼はまた、「民間分野の投資と雇用拡大のための規制革新と公正経済の強化をさらに加速化し、国会の協力を受けられるように最善を尽くしてほしい」と呼びかけた。最悪の雇用指標の成績にも、所得主導の成長や革新成長、公正経済という文在寅政権の3大経済政策基調を貫く意向を明確にしたわけだ。

 文大統領は特に「あつれき説」がささやかれたチャン・ハソン室長とキム・ドンヨン副首相に対し、「大統領府と政府の経済チームが完璧なチームワークで、厳しい雇用状況に政府が最善を尽くしているという信頼を与え、結果に進退をかけるという決意で臨んでほしい」と述べた。また、「政策で何より恐れなければならないのは、難関よりも国民の信頼を失うこと」だと強調した。経済政策の「ツートップ」に向けて公開的に警告したのだ。文大統領のこの日の発言は、二人の経済司令塔を“条件付き再信任”するものの、国民の不安感を煽りかねない政策をめぐる足並みの乱れはこれ以上容認できないと釘を刺したものと言える。また、内部分裂と映る恐れがある要素を事前に遮断し、「一糸乱れぬ」政策実行を重ねて強調したものとみられる。

キム・ボヒョプ、ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/858451.html韓国語原文入力:2018-08-20 23:12
訳H.J

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