北朝鮮産石炭を持ち込んだ輸入業者らはどのように納品企業に選定され、原産地規定などを潜り抜けられたのだろうか。
北朝鮮産石炭の輸入を主導した輸入会社H社は、金銭がやり取りされる銀行取引を避け、北朝鮮産石炭の現物を仲介手数料として受け取ったことが関税庁の調査で確認された。関税庁は10日、調査結果を発表し、「(韓国南東発電に北朝鮮産を偽って輸入納品した)H者は(石炭の納入を)仲介する際、手数料として金銭ではなく、北朝鮮産石炭を受け取った」とし、「銀行を通じた代金取引を経ることなく、金銭の流れとは関係なく動いた」と明らかにした。輸出者(北朝鮮)と輸入者(第3国)の間に入り、直接契約当事者として売買差益を狙う「中継貿易」ではなく、輸出・輸入者の代理人となり、仲介手数料だけを手にする「仲介貿易」を行ったわけだ。一部では、安価な北朝鮮産を買い入れ、ロシア産と偽って韓国にさらに高く売ることで、差益を手にする手法を使ったものと推測したが、その予想が外れた。
H社が税関当局に申告した輸入価格は、南東発電の国際競争入札で落札された際に書いたものと同じ1トン当たり96ドルだ。この価格は昨年10月当時、本物のロシア産石炭平均の輸入価格(92ドル)よりむしろ高い。南東発電の無煙炭の輸入納品競争入札当時、応札した会社は5社で、いずれもロシアを原産地として提示した。4社が提示した価格は1トン当たり123~142ドルだったが、H社だけが1トン当たり96ドル(計4万トン)で最低価格で応札した。南東発電側は「当時、入札資格条件と関連し、過去の納入実績の項目が厳しすぎるとして議論になったため、これまでの業績を“最小限”に変更した」とし、「これにより、小規模のH社も入札に参加できたと聞いている。しかし、当時北朝鮮産だけでなく、中国産も排除することを入札公告に明示した」と話した。
南東発電とH社との輸入契約は、今回北朝鮮産と最終確認された昨年10月の2回取引(総9700トン)直後、電撃的に解除された。南東発電は、「10月の輸入物量直後、その次の物量の納期日をH社が守れなかったため、11月に残りの物量を契約解除し、別の会社に輸入先を変えた」と話した。国内の火力発電所はほとんど石炭を使うが、旧炭鉱地域の三陟(サムチョク)周辺の老朽化した発電所である南東発電の永同火力や韓国東西発電、東海火力はロシアや北朝鮮などから輸入してきた無煙炭を使う。