サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が6日、京畿道の平沢(ピョンテク)半導体工場で政府と疎通懇談会をしながら、バイオ製薬分野を“第2の半導体”に育てるとして、薬価が市場で自律的に決められるようにしてほしいと言うなど、当該産業と関連した規制緩和を要求した。“イ・ジェヨンの得意事業”であるバイオ分野を広報して、会計論議に揺れたサムスンのバイオ事業の正当性を強調するためと見られる。
この日サムスンは、系列会社60社余りの中で、唯一サムソンバイオエピス(サムソンバイオロジクスの子会社)のコ・ハンスン社長を出席させるなど、バイオ分野を強調した。コ社長は懇談会で、バイオシミラー(バイオ後続品)薬価政策改善、バイオ医薬品原料物質の輸入・通関効率改善、各種税制緩和を要求した。バイオシミラーは、動物の蛋白質やホルモンを素材に作る医薬品を言う。特許が満了したオリジナル薬品と同等な成分を持つ薬だ。
関心を引いたのは、バイオシミラー薬の価格を事実上引き上げてほしいという要求であった。コ社長は「米国と欧州の場合、市場の自律競争と入札を通じて薬価が決定される」として「韓国国内でも企業が自発的な市場競争に参加して合理的薬価を形成するならば、バイオシミラー産業の競争力を向上させられるだけでなく、中長期的に政府の医療財政負担も減らすことができる」と話した。今はバイオシミラー医薬品が開発されれば、オリジナル薬の価格が既存の70%に下がることになっていて、複製薬であるバイオシミラーの価格はそれより低い水準で策定されるが、こうした構造をなくしてほしいということだ。
サムスンは「業界全体の意見」と主張したが、これはサムスン側の特殊な要求に近い。サムスンと共に韓国のバイオシミラー市場を二分しているセルトリオンの場合、バイオシミラー薬価改善要求をしていない。これは両社の価格政策の差異に起因すると見られる。例えば、サムスンはバイオシミラー薬の価格をオリジナル薬の価格より20~30%低い水準に合わせるが、セルトリオンはこれより少ない5~10%低く決める。バイオ医薬品関連協会関係者は「サムスンとセルトリオンは立場がそれぞれ異なる」として「バイオシミラーの薬価規制緩和と関連して、業界の共通した立場はない」と話した。
サムスンがバイオ系列会社の社長を直接動員して価格引き上げなどを要求した背景には、当該事業がイ副会長の注力する事業である点が反映されたものと見られる。サムスンは、イ副会長への後継体制が本格化した2009年から、バイオとヘルスケアを次世代主力事業に選定して事業を進めてきた。特にバイオ分野は2011年にサムソンバイオロジクスを設立し、7年間で時価総額27兆ウォン(約2.7兆円)を超えるなど高度成長中だ。
最近、粉飾会計論議を起こしたサムソンバイオロジクスの正当性を回復する意図も伺える。ある財界関係者は「現在、サムスンバイオロジクスは粉飾会計と特典上場論議に包まれている」として「サムスンの多くの系列会社社長のうちから、あえてサムスンバイオエピスの社長を連れていったのは、この事業の正当性を強調するためと見られる」と話した。
前日サムスンが政府に対しバイオ分野の規制緩和を要請し、政府が積極的に検討すると答えたため、7日のサムソンバイオロジクス株価は前日より6.53%急騰した42万4千ウォンで取引を終えた。サムソンバイオロジクスの親会社であるサムスン物産の株価も12万5千ウォンで、前日より2.88%上がり、NO.2株主であるサムスン電子の株価も4万6700ウォンで1.97%上昇した。