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政府、生存策求める小商工人に「賃貸料の緩和など対策講じる」

登録:2018-07-16 05:50 修正:2018-07-16 16:44
“弱者同士の争い”続く 
 
連合会、最低賃金に“不服”宣言 
刑事処罰覚悟の対抗策を予告 
「来月5日の告示前に支援策提示せよ」 
 
政府、手数料など費用緩和策 
共済事業など民生対策講じる計画
最近10年間の最低賃金の引き上げの推移//ハンギョレ新聞社

 来年の最低賃金が、今年より10.9%値上がりした1時間当たり8350ウォン(約830円)に決定されたことに対し、小商工業界の反発が激しい。小商工人連合会は「最低賃金の不服(モラトリアム)」運動で対抗するとし、コンビニ加盟店主らは全国で同時多発的に共同休業に突入する計画を明らかにするなど、激昂した反応を示している。あからさまに法を違反するという集団的反発だ。政府は来年の最低賃金を確定・告示する来月5日まで小商工業界の不満と憂慮の声を集約し、補完対策を講じる方針だ。

 小商工人らが掲げる反発の理由は生存権への脅威だ。小商工人連合会は14日の緊急声明で「わずか2年間で29%も上昇した最低賃金により、小商工人たちは廃業か人員削減かの選択を迫られる岐路に立たされた」とし、最低賃金の不服運動が生き残るための苦肉の策だと強調した。連合会は17日、副会長団会議や理事会を同時に開き、具体的な不服方策を協議し、61業種別総会も召集して対応策をまとめる計画だ。

 自営業とも呼ばれる小商工業種は最低賃金の適用対象の労働者が集中しており、実際に不服運動が行われた場合、深刻な事態が予想される。最低賃金制度が事実上無力化したり、小商工人たちが大量に刑事処罰を受ける状況が生じる恐れがある。政府は小商工人たちの反発が広がるのを防ぐため、積極的な対応に乗り出すことにした。まず、ホン・ジョンハク中小ベンチャー企業部長官が16日、中小企業中央会会長団と最低賃金委員会使用者委員らと緊急懇談会を開き、最低賃金の引き上げによる苦情を聞いて後続対策を話し合う。中小ベンチャー企業部はホン長官と小商工人団体の懇談会の日程も調整している。ホン長官は、業界との面会で、人件費の補助と共に賃貸料とカード決済手数料など、様々な費用の緩和策や共済事業支援対象の拡大など現実的な支援策を提示するものと見られる。

小商工人の景気体感指数//ハンギョレ新聞社 

 ただし、政府は、一部の団体の最低賃金拒否宣言については不快感を示している。中小ベンチャー企業部関係者は「朴槿恵(パク・クネ)政権時代、小商工人連合会は会員らに対し、最低賃金の遵守を督励する声明を出したことがある。新政権発足後、最低賃金が相対的に大幅に上昇したのは事実だが、以前政権の平均引き上げ幅を超過する部分については、政府が補てんするにもかかわらず、不服運動を煽るのは望ましくない」と批判した。また、彼は「コンビニ加盟店の深夜営業の中止や時間別割増販売の可否は、加盟の本社と交渉と契約に則って解決する問題であり、最低賃金の引き上げの補完対策として話し合うべき事案でもない」と付け加えた。

 政府は、何よりも最低賃金がまるで全ての問題の原因かのように主張されることを警戒している。約570万人に達する小商工人たちが最低賃金のために限界状況に追い込まれているという主張は、客観的根拠に乏しいという指摘だ。今年の小商工人の景気体感指数の推移では、最低賃金の引き上げによる打撃が明らかに現れていない。

 しかし、最低賃金の急激な引き上げが、最低生計費を稼ぐこともままならない小商工人たちに大きな負担を与えていることも、否定しにくい事実だ。最低賃金法で労働者に最小限の生存基盤を保護するように、小商工人の生存基盤づくりも政府が積極的に支援すべきという声も上がっている。キム・ユソン韓国労働社会研究所理事長は「フランチャイズ本社の横暴の解消などに向けた各種経済民主化立法の課題をはじめ、カード手数料引き下げや商店街の賃貸料負担の緩和など、政府と与党が今まで発表しただけで先延ばしにしてきた小商工人対策をまず施行するのが重要だ」とし、「また、大企業や経済団体も小商工人の反発を盾にするよりも、自ら公正取引の慣行を定着させるのに力を入れるなど、責任を果たさなければならない」と強調した。

パク・スンビン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/853381.html韓国語原文入力:2018-07-15 22:18
訳H.J

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