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韓国財界、来年度の最低賃金「凍結または業種別差等適用」を要求

登録:2018-07-10 09:23 修正:2018-07-10 09:36
[最低賃金決定まであと4日] 
経済団体、来年の最低賃金凍結を主張し 
「業種別最低賃金が適用されれば引き上げは可能」 
1989年から30年、旧態依然の「引き上げ抑制」論理 
 
労働団体「最低賃金の趣旨を損ねる」と反発 
昨年、最低賃金委TFも「不要」と結論
経営界が9日午前、ソウル汝矣の中小企業中央会で記者会見を開き、最低賃金が業種別に差等適用されるべきだと主張した/聯合ニュース

 来年度の最低賃金決定を5日後に控え、経営界が再び「業種別(事業別)差等適用」カードを取り出した。事業の種類別にそれぞれ異なるレベルの「最低賃金」を支給できるよう、政府が道を広げるべきだという主張だ。これに対して労働界は「労働者の生計保障という最低賃金の趣旨を損ねる企て」だと反発している。

 9日午前、中小企業中央会と韓国経営者総協会、大韓商工会議所、全国経済人連合会、韓国貿易協会、韓国中堅企業連合会からなる6つの経済団体の関係者は、ソウル汝矣島(ヨイド)で記者会見を開き、「最低賃金の業種別差等適用」が必要だと主張した。シン・ヨンソン中小企業中央会常勤副会長は「最低賃金法にも事業別差等適用に対する根拠が設けられており、業種ごとに最低賃金未満率と賃金格差が激しく、引き上げ率を一本化して定めるのは合理的でない」と話した。

 経営界が「業種別に異なる最低賃金の導入」を要求する表向きの理由は、小商工人、中小企業の困難な状態のためだ。簡単に言えば、主な「最低賃金事業場」である零細・小商工人の低い支払い能力を考慮し、業種別に最低賃金レベルを決めようということだ。主な対象は「最低賃金未満率が高い業種」と「従業員1人当たりの営業利益が低い業種」、「小商工人の割合が高い業種」などだ。小商工人連合会では最初から事業規模が零細な「(労働者の規模が)5人未満の事業場全体」に差等適用が必要だと主張した。

 経営界の最低賃金差等適用の主張と関連し、さまざまな労働分野の専門家は「最低賃金制度の趣旨を無力化する主張」と指摘した。最低賃金の基準が業種別にばらつけば、低賃金状態に置かれた労働者はさらに貧困から脱するのが難しくなるという話だ。韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン副所長は「清掃や警備、各種パートタイムの働き口の生産性が低いから、このようなところにはもっと低い最低賃金を適用すべきというものだが、そうなると、このようなところで生計型で働く若者や経歴断絶女性、高齢者は低賃金状態から脱出する機会を得られなくなる」と話した。

 昨年12月、最低賃金委員会の専門家TF(タスクフォース)が、最低賃金差等適用は望ましくないという結論を導出した背景も同様だ。当時TFの最低賃金制度改善案によると、業種別差等適用について多数の専門家は「最低賃金の趣旨上、業種別差等適用は妥当性を見つけがたく、該当する業種は低賃金のレッテル効果が発生する」とし、反対するという考えを明確にした。同様に経済界の「地域別差等適用」と「生産性が落ちる若者・高齢者に対する減額適用」要求に対してもTFは「不要だ」とみなした。

 零細・小商工人の支払能力が低いから、これを「最低賃金差等適用」で解消しようという経営界のアプローチも望ましくないという指摘が出ている。韓国労総はこの日の声明で「零細自営業者を困難にする元・下請けの不公正取引やフランチャイズ本社の横暴など、大企業の『パワハラ横暴』についてきちんと声を上げることが先だ」とし、「政府も高い賃貸料やカード手数料などに対する根本的な対策を樹立しなければならない」と話した。

 労働界では、経営界の最低賃金差等適用の主張が「交渉用カード」に近いとみている。14日の来年度の最低賃金レベル決定を控え、引き上げ幅を最大限下げようとする意図が「差等適用要求」に現れているという意味だ。実際、経営界は5日、来年度の最低賃金凍結を要求し、「業種別差等適用という要求が受け入れられるなら(凍結ではない)修正案を提示する意向がある」と明らかにした。また、経営界は最低賃金制度が導入された1988年以降、約30年間毎年、最低賃金審議過程で業種別差等適用を要求してきた。

 これに対してイ・チャングン民主労総政策研究委員は「最低賃金の事業場の大多数が低賃金労働者が働いている所だが、差等適用が行われば逆説的に最も保護を受けなければならない労働者が不利益をこうむることになる」とし、「最低賃金制度の趣旨とは正反対の効果が生じるだけだ」と話した。チョン・ムンジュ韓国労総政策本部長も「昨年、最低賃金委員会制度の改善委員会でも『最低賃金差等適用は不要』だと結論が出たのに、経営界はこの10年間繰り返してきた旧態を、今回も繰り返している」と話した。

チェ・ソンジン、パク・スンビン、イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/852597.html韓国語原文入力:2018-07-10 07:33
訳M.C

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