新古里5・6号機公論化委員会が20日、3カ月間の活動を終了し、解散した。公論化委は、熟議の過程を通じて地域・環境・世代などの問題が複合的に絡み合っていた新古里5・6号機の建設と関連し、いったん建設を再開するものの、長期的には原発を縮小すべきという内容を盛り込んだ勧告案を政府に提出した。特に賛否に分かれた陣営がいずれも勧告を受け入れる意向を明らかにしており、社会的合意に基づいた社会的葛藤の解決の歴史を書き直すことになった。熟議民主主義に向けた文在寅(ムン・ジェイン)政権の第1号実験だった「公論化」作業が、韓国社会の新たな社会的葛藤管理のモデルとして定着できるかに注目が集まっている。
政界と利害当事者ではない一般市民471人で構成された市民参加団が合宿を含む集中的な学習と熟議のすえに、国家の主要政策であり、激しい社会的葛藤をもたらした事案に対する解決策を決定したのは、事実上今回が初めてだ。文在寅政権自ら「脱原発政策」を宣言したにもかかわらず、これを政府レベルで押し通したり専門家に任せず、市民参加団の熟議と討論を通じて決定したのだ。市民が直接政策を決定できる「市民主権主義」の最初の実験とも言える。キム・ジヒョン公論化委員長は「市民代表が参加し、熟成された意見を聴取した民主的意思決定」だと強調した。
市民の間では(公論化への)参加への熱気があふれていた。参加の意思を明らかにした500人のうち478人がオリエンテーションに参加し、2泊3日で行われた合宿討論には471人が出席し、94%の参加率を記録した。市民参加団の討論過程を見守った公論化委の関係者は「討論参加者たちは自分たちが出した結果が政府の政策に反映されるという事実に大きく鼓舞されており、非常に高い集中力と真剣さを持って合宿討論に臨んだ」と話した。公論化委の活動が主な懸案として浮上し、脱原発や新古里5・6号機の建設に対する社会的関心が高まったことに伴い、“結論”に対する社会的受容性も高まったものと見られる。
公論化が市民代表が参加して熟成された意見を集約する民主的意思形成の手続きであるだけに、市民に執行される国家権力が民主的に行使されるように“補完”する役割も果たせるものと見られる。新古里5・6号機の建設も、工事再開と中断の主張が鋭く対決していたが、公論化という民主的意思決定プロセスを経て、結論に“承服”できる正当性と名分を与えたのだ。環境運動連合や経実連など新古里5・6号機の建設に反対した団体は、勧告案を受け入れる意思を表明した。カトリック大学のイ・ヨンヒ教授は「これまで政策決定過程における市民参加は官僚や専門家たちによる政策決定の付き添い役に悪用される事例が多かった。今回公論化の場が開かれ、市民らが韓国社会のエネルギー問題に関心を持って熟考された判断を下せる『能動的市民』へと生まれ変わった」と話した。
これからも政府の主要政策決定プロセスで公論調査モデルが活用される可能性も高い。キム・ジヒョン委員長は「市民による公論化が政府政策などに対する承服の可能性を高めた」と評価し、「使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の解決策も急がれる」と明らかにした。
公論化の核心が参加者らが情報に基づいて討論を繰り広げる「熟議」にあるだけに、今回の「新古里5・6号機公論化委員会」のような形式ではなくとも、様々な形の「熟議型合意追求」モデルを活用すべきという意見もある。賛否の違いよりも、公論化プロセスにおける参加者らの意見の変化を追跡すること自体に意味を置かなければならないという説明だ。ソウル大学言論情報学科のイ・ジュンウン教授は「今回の『新古里5・6号機公論化委員会』のように大規模に進めなければならない事案もあるが、市民陪審員団など熟議型協議を多様な方式で進められる方法が多数開発されている」としたうえで、「公論化は費用がかかり、難しいという批判があるかもしれないが、社会的葛藤を管理しなかった場合にかかる社会的費用を考えれば、甘受する価値がある」と指摘した。