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[ニュース分析]トランプのFTA廃棄圧迫に押され「全面改定交渉」も排除できず

登録:2017-10-08 22:43 修正:2017-10-09 06:23
韓米FTA改定に事実上合意 
「協定効果共同分析」提案拒否され 
来年初に改定交渉に本格着手する見込み 
大統領府「改定交渉が始まった段階ではない」
産業通商資源部のキム・ヒョンジョン通商交渉本部長(右から2人目)が4日(現地時間)、米ワシントンの通商代表部で開かれた「第2次韓米FTA共同委員会特別会期」に参加し、ライトハイザー米通商代表部代表らと共に両国のFTA懸案を議論している=産業通商資源部提供//ハンギョレ新聞社

 韓米両国が韓米自由貿易協定(FTA)改定交渉の着手に事実上合意した中で、大幅な全面的改定となる公算が大きいという展望が出ている。特に両国間の利益均衡に基づいた自由貿易協定が発効してから約5年半で「貿易赤字解消」という米国の前例なき不合理な要求がそのまま貫徹された多少奇異な改定局面に入り込んだ。

 キム・ヒョンジョン通商交渉本部長は4日(現地時間)、ワシントンの米通商代表部(USTR)で開かれた韓米自由貿易協定共同委員会第2次特別会期が終わった直後に記者団と会い、「韓米自由貿易協定の相互互恵性を一層強化するための協定改定の必要性に両国が認識を共にした」と明らかにした。韓国の通商当局は、通商手続き法に則り、今後の改定の経済的妥当性評価、公聴会開催、国会報告など改定交渉の開始に必要な諸般の手続きを着実に進めると明らかにした。手続きの履行に必要な時間を考慮すれば、本格的な改定交渉への着手は来年初めになると見られる。

 改定交渉への突入はすでに感知されていた。ドナルド・トランプ米大統領が「協定廃棄」書簡まで作成しようとしたという消息を聞き、キム本部長が急遽訪米して先月20日にロバート・ライトハイザー米通商代表部代表と会い、結局「第2次特別会期をワシントンで開こう」と韓国側から先に提案する状況が展開していたためだ。当時、キム本部長はワシントン特派員と会い「(トランプ大統領の)廃棄威嚇が現実的に切迫している。ブラフ(見えすいた脅し)ではなさそうだ」と話したことがある。協定廃棄カードまで持ち出して韓国側を翻弄してきたトランプ大統領の“狂気じみた戦略”と、北朝鮮の核・ミサイル事態が触発した安保脅威の前で、韓国の通商当局が事実上退いたものと見られる。

 8月22日に開かれた第1次特別会期で、韓国側が「改定を議論する前に、先に両国共同で協定の影響を調査・分析・評価しよう」と要求したが、この提案も米国側の拒否で失敗に終わった。通商交渉本部は「今回の第2次特別会期で、韓国代表団は『過去5年間の効果を分析したところ、関税撤廃の恩恵を米国産製品がより多く得た』という内容を米国側に説明した」と明らかにした。韓国側が作成した分析報告書を米国側に提示したことで「共同調査・分析」提案を事実上たたんだわけだ。

 通商交渉本部は「米国は第2次特別会期で一部協定文の改定事項を提示し、韓国側もこれに対し相応する“関心イシュー”を共に提起した」と明らかにした。米国は工業製品・サービス・知的財産権・投資・農産物などの品目にわたり改定が必要な点を具体的に数え上げて提示したという。これに伴い、協定文改定の必要性と目的のみならず、今後の改定交渉で扱うことになる細部的な貿易分野も相当部分明らかにされたのではないかという観測が出ている。一部の分野・品目に対する修正・改定を超えて、広範囲な領域にわたる大幅協定改編につながる可能性も排除できないということだ。

 通商スペシャリストであるソン・ギホ弁護士(民主社会のための弁護士会通産委員長)は8日「単純に協定文の一部の改定交渉ではなく、米国は韓米自由貿易協定を全面改編し実質的な廃棄水準の構造変更を試みるだろう」と見通した。ソン弁護士は、米国が医薬品・知的財産権・農業・サービス市場など全般的分野を改定しようと圧迫し、同時に自動車・鉄鋼などで韓国の行動変更を強引に要求するだろうとし、輸出支援のための為替レート介入禁止条項の導入など、いわゆる“トランプ式自由貿易協定モデル”への改編を試みるだろう」と展望した。

 改定着手が公式化され、今後韓国の産業・業種内部で“協定維持費用”の支払いをめぐる葛藤も本格化すると見られる。協定存続のために米国に相当な水準の譲歩案を提示する状況に追い込まれる可能性があるためだ。

 これについて大統領府のパク・スヒョン報道官は8日、ブリーフィングで「一部のマスコミはトランプ大統領の「FTA廃棄」圧迫に「白旗をあげた」と報道しているが、それは全く事実ではない」として「韓米両国はFTA改定手続きの推進に合意したに過ぎない」と明らかにした。彼は「現段階は改定交渉が始まったわけではないということを明確に申し上げ、今後改定交渉が始まる場合、関連部署、国内利害関係者などとの広範囲な意見集約を通じて韓国側の改定関心イシューを導き出す予定」と話した。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/813669.html 韓国語原文入力:2017-10-08 20:33
訳J.S(2176字)

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