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[社説]米国の全方位“貿易攻勢”に積極的に正面対抗すべき

登録:2017-10-08 22:41 修正:2017-10-09 06:29
産業通商資源部のキム・ヒョンジョン通商交渉本部長(右から2人目)が4日(現地時間)、米ワシントンの通商代表部で開かれた「第2次韓米FTA共同委員会特別会期」に参加し、ライトハイザー米通商代表部代表らと共に両国のFTA懸案を議論している=産業通商資源部提供//ハンギョレ新聞社

 韓米自由貿易協定(FTA)が改定交渉手続きに入ることになった。産業通商資源部通商交渉本部と米通商代表部(USTR)は4日(現地時間)、ワシントンで韓米FTA第2次共同委員会特別会期を開き、このように合意した。

 当初、韓国政府は韓米FTAの現行維持方針を定め、8月の第1次共同委で協定の経済的効果を先に分析しようと提案したが、ドナルド・トランプ大統領の「韓米FTA廃棄準備指示」など米国の強力な攻勢に事実上屈服したわけだ。本格的な改定交渉は来年初め頃になると予想され、準備時間が豊富にあるわけでもない。最も緊張する分野は、米国から代表的な貿易不均衡産業として名指しされた自動車と鉄鋼業界だ。現代自動車は今年、輸出の3分の1が対米輸出であるだけに少なからぬ打撃が憂慮される。また、牛肉など米国産農畜産物に対する関税撤廃要求など、農産物分野の追加開放圧力も激しくなることが明らかだ。

 FTA改定交渉要求の他にも、米国際貿易委員会が4日にサムスンとLG電子の洗濯機に対して自国産業の深刻な被害が認められるとし、16年ぶりにセーフガード(緊急輸入制限措置)発動を予告するなど、米国の通商圧力は全方位的だ。しかし、貿易不均衡の原因を関税など通商不平等に求める主張には無理がある。自動車は昨年から韓米両国共に無関税を適用していて、鉄鋼は世界貿易機構(WTO)の無関税協定に則りFTAの発効以前の2004年から無関税が適用されている。結局、価格を含む競争力の差をさらに大きな原因と見なければならないというのが常識だ。

 競争企業であるワールプールの提訴に触発されたサムスンとLGの洗濯機に対するセーフガード発動は、両企業の米国工場建設計画にも影響を及ぼすだろう。米国の通商圧力が結果的に米国の消費者の選択権と働き口を奪うことになりかねない。もしもトランプ行政府が北朝鮮核危機を活用して通商圧力を強化しようとしているならば、それこそ実に幼稚だ。

 これまで楽観的展望と守勢で一貫してきた韓国政府は、FTA改定交渉に対して冷徹かつ断固として対応しなければならない。知的財産権や旅行サービスなど、ますます増えるサービス部門の対米赤字と投資家-国家訴訟制(ISD)要求などについてはむしろ攻勢を強化する必要がある。「守り」に汲々とすることなく、積極的な姿勢で改定交渉に臨まなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/813652.html 韓国語原文入力:2017-10-08 18:54
訳J.S(1108字)

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