大企業・高所得者・高額資産家から税金をより多く集めることを骨格とする文在寅(ムン・ジェイン)政府の金持ち増税案が策定された。これを通じて年間5兆5千億ウォン(約5400億円)の税収効果が見込まれると政府は推算した。
2日、政府が発表した「2017年税法改正案」によれば、課税標準2千億ウォン(約200億円)超過企業の法人税率を現行の22%から25%に引き上げ、課税標準3億~5億ウォン(3000~4900万円)と5億ウォン超の高所得者に対する所得税率をそれぞれ40%と42%にし、現在より2%ずつ引き上げる方案が盛り込まれた。政府はまた、大株主が株式を売って得た譲渡所得に対する課税に累進制を導入することにした。課税標準3億ウォン以下の株式譲渡所得に対しては現行と同じ20%の税率が適用されるが、3億ウォン超の所得分に対しては25%の税率が適用される。これと共に相続・贈与税の申告税額控除比重も現在の7%から2019年までに3%へ段階的に縮小することにした。
その代わりに政府は低所得世帯に支援される勤労・子女奨励金(EITC)は引き上げることにした。勤労奨励金の場合、一人世帯・片働き・共稼ぎなどの所得条件に応じて77~230万ウォン(7.5~23万円)だった支給額が、85~250万ウォン(8.4~25万円)に増える。政府は「所得下位20%の世帯所得が5分期連続で減少するなど所得不平等が深刻化された状況を緩和するための措置」と説明した。大企業・高所得層から税金をより多く集め、低所得層に対する租税支出を増やすことにより租税の所得再分配機能を強化するという趣旨だ。
企業に対する税額減免政策は、中小企業の雇用創出に集中することにした。投資がなくとも雇用の増加だけで最長2年まで年間1千万ウォン(約100万円)を税額控除する「雇用増大税制」が新設された。経歴断絶女性や青年などの就職脆弱階層の雇用と非正規職の正規職転換などにより受けられる税額控除の恩恵も中小企業を中心に大幅に引き上げられた。
企画財政部は今回の税法改正案による税収効果を年間5兆5千億ウォンと推算している。法人税の最高税率引き上げ(2兆5500億ウォン)、研究開発・設備投資税額控除の縮小(5500億ウォン)など、大企業は年間3兆7千億ウォンの税負担を追加で負うことになる。所得税の最高税率の調整(1兆800億ウォン)、株式譲渡所得の税率調整(4千億ウォン)、相続・贈与税申告税額控除の縮小(1400億ウォン)などで高所得者の税負担も年間2兆5700億ウォン増える。反面、中小企業と庶民・中産層の場合には、今回の税制改編案でそれぞれ6千億、2200億ウォンずつ税負担が軽減されると企財部は見通した。