中国の「THAAD(高高度防衛ミサイル)報復」の影響で韓国と中国の路線航空旅客が激減したことを受け、政府が緊急支援対策作りに乗り出した。
国土交通部が19日発表した航空旅客統計によると、今年3月に韓中路線を利用した航空旅客は113万4261人で、昨年同期の146万4316人に比べ22.5%(33万人)も急減した。このような急激な減少傾向は、中国政府が韓国のTHAAD配備に対する経済報復措置を取ったことで発生したものとみられる。特に、中国政府が韓国団体旅行の販売制限措置に入った3月15日以降は37.3%が減少した。
韓中路線を除いた他の路線の航空旅客は増えており、全体の旅客需要は増加した。国際線の場合、国内からの海外旅行客と日本・東南アジアからの観光客が共に増え、全体国際線の旅客需要は9.6%増加した607万人で、3月としては歴代最高を記録した。日本路線で29万人(22.8%)、東南アジア路線で44万人(23.1%)が前年同期に比べて増加した。国内線も、済州(チェジュ)旅行客の増加や内陸旅客需要の増加により、対前年同期比16万人(7.2%)増加した244万人を記録した。
しかし、政府は3月までは航空旅客の上昇が続いたが、4月からは航空旅客の増加率が底を打つものと予想しており、業界緊急支援対策作りに乗り出した。4月1日から12日まで中国路線の旅客減少率が46%まで上昇し、今年に入って10%台を維持した全体の国際線旅客の増加率も4月に入って0.4%にとどまっているからだ。
国土部はまず、中国路線に集中している空港に日本、東南アジア路線を追加配置するなど、路線の多角化を図ることで、衝撃を和らげる計画だ。中国路線の割合が高い済州空港は中国航空会社が返還したスロット(特定の時間帯に航空機の離着陸が可能な運航権利)18件における日本、台湾、タイなどの代替路線の投入を検討している。また、韓国空港公社と各地方自治体は、地方空港に国際線チャーター便を誘致する旅行会社への支援金を最大10億ウォン(約9600万円)に拡大し、5月から海外現地旅行社を対象に、マーケティング支援にも乗り出す計画だ。国土交通部のク・ボンファン航空政策官は「減少した航空需要を早急に回復し、韓国の航空市場の体質を強化するためには航空路線の多角化が重要だ」とし、「今回の支援対策を迅速に施行し、業界と緊密に協力する」と明らかにした。