米ゼネラルモータース(GM)が、欧州地域の最後の砦だった子会社オペルまでフランスのプジョー・シトロエングループ(PSA)に売却し、韓国GMがその煽りを受けることになった。GMは2013年にシボレーブランドを欧州から撤収した当時でも「ヨーロッパでの事業はオペルを中心に続ける」と言ったが、結局整理手順を踏むことになった。
プジョー・シトロエンは6日(現地時間)、GMの欧州子会社オペルとボクスホール、ヨーロッパ金融事業を22億ユーロ(約2600億円)で買収したと発表した。オペルの売却は、GMの欧州市場からの完全撤収を意味する。これでGMは90年続いたヨーロッパでの事業をたたむことになった。
1862年に設立されたオペルは、ドイツを中心にヨーロッパ6カ国に10の工場を稼動してきた。GMは1929年にオペルを買収したが、現地競争企業に押されて苦戦してきた。ヨーロッパ市場で莫大な損失を被ったGMは、結局2013年にシボレーブランドのヨーロッパ撤収を決めた。今回のオペル売却はその完成版であるわけだ。
問題はその余波が韓国GMにそっくり及ぶ点だ。韓国GMは昨年、内需市場で史上最大の売上を達成した。だが、輸出物量は前年より10%も減少した。輸出物量全体の半分程度を占めてきたヨーロッパからGMが手を引いたことが最大の原因だった。韓国GMはオペルと現地販売法人を通じてスパークとトラックスをヨーロッパ市場で販売してきた。2つの車種は韓国GMの輸出を牽引してきたモデルだが、代案を探せなければヨーロッパ輸出の道は難しくなる。
韓国GMの輸出量は、GMがヨーロッパ撤収を宣言した2013年には63万台だったが、翌年の2014年には48万台に急減した。2015年の46万台に続き昨年は42万台と減少傾向が続いていた。韓国GMの輸出不振は、新興国など世界景気の鈍化のせいもあるが、ヨーロッパ輸出が急激に減ったことが主な原因だ。昨年のヨーロッパ輸出比重は輸出の3分の1に縮小した。ウォールストリートジャーナルは米国GMが韓国・インド・ブラジルでの生産縮小を検討していると報道した。
韓国GMの輸出減少は、国内での生産萎縮を招き雇用不安につながる可能性が大きいという点で大きな憂慮をもたらしている。偶然にも会社側は3日から今年の希望退職受付を始めた。韓国GMは昨年初めにも希望退職申請を受け付けた。会社側は「希望する人に限ってであり、組織の効率性を高めることが趣旨」と説明しているが、韓国GMの構成員は人的構造調整の一つとして見ている。かつての大宇自動車時期から20年以上にわたり韓国GMで仕事をしてきたK氏は「GMのグローバル政策により振り回されてばかりいて、苦しいかぎりだ。表面的には希望退職だが、勤続年数が長い職員は半強制だと見ている」と伝えた。
韓国GMの希望退職は、2009年以後だけで今回が5回目だ。生産職を除く事務職が対象だというが、入社6年目(2011年以前入社者)からを対象としており、不安感が高まっている。GMのヨーロッパ市場からの撤収が終われば、韓国GMの輸出物量はさらに減ることになり、韓国国内での生産と雇用事情は今より萎縮することが明らかだ。韓国GMは2015年に史上最大規模の赤字(-5944億ウォン=約590億円)を出した。ヨーロッパ市場からの撤収にともなう費用を担ったためだ。2016年はこれ以上の費用負担を背負うと見られている。