創業支援と参入制限が入り混じった政府の自営業対策と貸付金利の上昇が、零細自営業者の廃業率を高めているという研究結果が出た。
韓国銀行のナム・ユンミ副研究委員は30日、「国内自営業の廃業率の決定要因分析」報告書で、自営業の60%を占める3大業種の廃業率(2006~2013年)を調査した結果、飲食・宿泊業の平均生存期間は3.1年に止まっていることが分かったと明らかにした。一方、卸売・小売業が5.2年、修理とその他個人サービス業(以下その他のサービス業)が5.1年で、比較的長かった。自営業全体で卸・小売業は28%、飲食・宿泊業は22%、その他のサービス業は10%の割合を占めている。
自営業が国内雇用で占める割合は、2015年基準で25.9%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち4番目に高い水準だ。しかし主要自営業種の倒産率が高く、生存期間が短いため、雇用不安は大きくならざるを得ない。
自営業者の廃業率に影響を与えるコスト要因を見てみると、中小企業への貸付金利と賃貸料が高いほど廃業リスクが高まることが分かった。中小企業向け貸付金利が0.1%ポイント上昇すると、飲食・宿泊業の廃業リスクは10.6%高まり、その他サービス業、卸・小売り業ではそれぞれ7.5%、7%増加した。ナム研究員は、金利の上昇が自営業者の利子負担を増大させるだけでなく、消費支出も萎縮させるため、飲食・宿泊業の廃業リスクをさらに高めると分析した。
業者間の競争要因を見てみると、同一行政区域内に同種業者数が多いほど、卸・小売業や飲食・宿泊業の廃業危険度が増加した。しかし、その他のサービス業ではこのような傾向が見られなかった。その他のサービス業には、自動車などの修理業だけでなく、理・美容業、クリーニング業、葬儀サービスなど細部業種が多様に含まれており、統計上の同種業者競争の効果が現れないものと推定される。また大都市での廃業率が中小都市や非都市地域より高かったが、自営業者の進入と退出がすべて大都市で活発に行われるためと分析された。
景気要因としては、消費者物価が自営業者の廃業率に与える影響が大きいものとみられる。消費者物価指数が1単位増加すると、廃業危険度は53~54%減少することが分かった。また、経済成長率が1単位高くなると、廃業リスクが卸・小売業やその他サービス業では3.2%、飲食・宿泊業では3.6%減少した。
ナム研究員は、政府の自営業者対策が長期的観点を維持できておらず、創業支援と参入制限の方案が入り混じっており、一貫性に欠けていると指摘した。彼女は過剰競争を制限して費用負担を減らすことで、自営業者の生存期間を延ばす政策を取ることを勧告した。