政府は「韓日通貨スワップ」再延長の座礁がすぐに韓国経済に影響を及ぼすとは考えていない。しかし、今年は対外リスクの悪材料が相次いで発生しうる状況であるため、この「突発的な変数」にも相当な緊張感が漂った。
通貨スワップは、両国の中央銀行が有事の際に一定の金額の通貨を交換する協定を意味する。韓国のような新興国は機軸通貨国と通貨スワップ契約を結ぶのが有利だ。経済危機の際、自国通貨の価値の急落や資金流出の危険を和らげる「外貨安全弁」となりうるからだ。グローバル金融危機の際、米国との通貨スワップが締結されるやいなや急落したウォン価値がすぐに安定を取り戻したことからもわかる通りだ。
しかし、日本との通貨スワップは少々脈絡が異なる。2001年から始まった日本との通貨スワップは、経済的要因よりは政治的環境に多く左右された。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の時は安定した韓日の外交関係を踏まえ、通貨スワップの規模が拡大し続けたが、2012年の李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島訪問後に変曲点を迎えた。日本は毎年通貨スワップの規模を減らし、2015年2月に協定は終了された。2015年8月末、韓日財務長官会談時に通貨スワップの再延長交渉が始まったが、外交問題での衝突が落ち着いた影響であっただけで、経済的理由は大きくなかった。
企画財政部の核心部署のある課長は「韓日通貨スワップは政治的に象徴的な意味を持つ協定」だとし、「交渉が中断されたとしても経済への衝撃を懸念することはない」と話した。実際この日の韓国ウォンの対ドル相場は6.7ウォンの上昇に止まった。
問題はこれからだ。両国間の交渉中断は対外不安の予告編ではないかということだ。今後、保護貿易主義を強調する米トランプ政権の発足や、英国の欧州連合脱退(ブレグジット)交渉などは、対外開放レベルが高い韓国経済に少なからぬ影響を与える恐れがある。目前に迫っている4月の米財務部が発表する為替報告書も大きな負担だ。
韓国経済は国際政治の流れの変化に伴う経済的費用を支払い始めており、これは今後はさらに増す公算だ。今年韓国ガス公社は、米国のシェールガスを年間280万トン規模で導入する。これは対米貿易黒字国に角を立てる米政府の気持ちをなだめるために、政府レベルで推進する措置だ。ユ・イルホ副首相兼企画財政部長官は5日、政府世宗庁舎で開いた記者懇談会で「米国が提示した為替操作国基準によると、韓国はその対象ではないと堂々と言える」と述べながらも、「対米貿易黒字の規模を減らすため、シェールガスなど米国産品の購買を増やす案を推進中」だと述べた。