今年2月に終了した日本との通貨スワップが再開されそうだ。悪化した韓日関係が、昨年末の両国政府間「慰安婦問題合意」以後に改善されていることに伴う動きとみられる。
ユ・イルホ副首相兼企画財政部長官は27日、日本の麻生太郎副首相兼財務相との韓日財務長官会議を終えた後、韓日通貨スワップ協定を再び結ぶ議論をすることで両国が合意した事実を公開した。ユ副首相は会談後に記者団と会い「両国間の経済協力の象徴的意味を考慮して、韓国が麻生太郎副首相に通貨スワップ議論の開始を提案した」と明らかにした。
通貨スワップとは、取引当事者が特定時点であらかじめ定めた為替レートにより各自が保有する通貨を対等交換することをいう。こうした協定の締結は、外国為替市場の安定を助けるもので、一種の金融安全網の強化と言える。企画財政部のファン・ゴンイル国際金融政策局長は「英国のブレグジット(ヨーロッパ連合脱退)決定後、国際金融市場の変動性と不確実性が増し、米国の連邦準備制度(Fed)議長などが政策金利引き上げの可能性に言及したことに伴い、今回の会談で通貨スワップを(日本に)提案した」と明らかにした。国際金融市場の潜在的不安要素が今回の通貨スワップ再開議論を提案した背景という説明だ。
しかし、今回のスワップ再開議論は、韓日関係の改善という政治的背景が作用しているという見方が多い。世界貿易の決済比重が5%にも満たない日本円の地位や豊富な韓国の外貨準備高など、対外健全性を念頭に置く時、日本との通貨スワップを急ぐ経済的理由は大きくないためだ。
韓日通貨スワップは、2001年7月に20億ドル相当規模で始め、その後700億ドル相当までその規模が増えたが、2012年8月に当時李明博(イミョンバク)大統領の独島訪問以後に韓日関係が悪化し変曲点をむかえた。満期延長をしない方式で毎年スワップ規模が縮小し、今年2月に最終的に終了した。凍てついた韓日関係が通貨スワップの中断という形で現れたのだ。日本の朝日新聞は「韓国経済は今すぐに通貨スワップを再開しなければならない状況ではない」として、慰安婦問題解決のための合意から8カ月が過ぎて「関係改善が経済分野に拡大した」と報道した。
専門家らは韓国の外国為替市場を根本的に安定させるための措置としては、日本より米国とのスワップ協定締結を強調する。世界の基軸通貨であるドルとの連係をより厚くしなければならないということだ。今年2月、北朝鮮リスクが高まった当時にも、米国との通貨スワップの必要性が浮上したことがある。米国との通貨スワップは、世界金融危機が起きた2008年10月に初めて締結されたが、2010年に契約が終了した。企画財政部側は「米国の外為当局と会うたびに通貨スワップ締結の必要性を話しているが、米国の立場は頑固だ」と明らかにした。