ドナルド・トランプ共和党候補の米大統領選挙勝利の余波で、当分の間は外国人投資資金の韓国証券市場からの離脱が加速化するという憂慮が出ている。
9日、外国人は有価証券市場(KOSPI)で2132億ウォン(約191億円)を売り越した。6取引日連続の売り越しで、この間に外国人投資家の累積売り越し額は9089億ウォン(約845億円)に達する。この日、機関投資家が3000億ウォン(約269億円)を超える買い越しに出たが、株価指数の暴落を防ぐことはできなかった。
外国人投資家は今月に入り、先物市場でも大量売りポジションを取っている。この日午前だけで、KOSPI200先物を2000契約内外買い越していた外国人は、トランプがリードしているというニュースが伝わると“売り手”に急変し、5951契約を売り越した。金額基準で7356億ウォン(約660億円)に相当する。外国人はヒラリー・クリントン候補の優勢が予想された8日を除けば、6取引日でKOSPI200先物を連続で売り越して、韓国株式市場の追加下落に備える態勢だ。これに先立って、外国人投資家は「朴槿恵(パク・クネ)-チェ・スンシルゲート」が燃え上がった2日と先月25日にKOSPI200先物をそれぞれ1万契約内外売り越したことがある。
株価の変動性にともなう投資家の不安心理を表わす指標である「恐怖指数」も急騰した。韓国の恐怖指数であるプイコスピ(VKOSPI)は、この日16.6%急騰した19.26を記録し、ブレグジット(英国のヨーロッパ連合脱退)の投票結果が伝えられた6月24日の恐怖指数(22.53)に近接した。プイコスピは、取引中に40%以上上がった23.24を記録し、投資家の心理が恐慌状態に陥ったことを示した。
国内外での政治的リスクが重なる状況で、米国の中央銀行である連邦準備制度(Fed)がもし来月予定通りに基準金利の引き上げに踏み切るならば、資金離脱規模はさらに大きくなりえる。
リスク資産を忌避しようとする心理から資金が集まった国債価格の上昇により、金利は一斉に下がった。この日、債権市場で3年満期の国庫債金利は0.023%下がった年1.402%で取引を終えた。長期物金利の下落幅はさらに大きかった。10年物は0.031%、30年物は0.032%下がった。債権市場の専門家らは、韓国の政治リスクにともなう内需不振憂慮に加えて「トランプ・リスク」が現実化したため金利が下落したと分析した。