政府が24日、地図データの国外搬出を求めるグーグルの要請について、11月23日までに審議し決定すると発表したが、政府、学界、業界関係者、ネチズンの反応を聞く過程で、興味深い事実が発見された。激しい賛否論争のなかで「反グーグルムード」が広がっていることだ。
まず「憎らしい」と思う人が多い。グーグルが韓国でたくさん稼いでいながら税金は払っていないことに対して「あんまりだ」と指摘する人もいた。ある政府関係者は「米国政府がグーグルの要請を受け入れるよう韓国政府に圧力をかけたという話が広まっている。政府が決定を先送りしたのもそのためだろう」と話した。業界では「グーグル特恵」と主張している。「地図データの国外搬出を禁止する法の趣旨に反するならば、不許可の決定を行うべきで、決定を先送りするのは話にならない」という。
ネイバーのイ・ヘジン理事会議長は、このような指摘をより露骨に表している。イ議長は先月の記者懇談会で「グーグルは地図データの持ち出しを許可してほしいと言わずに、韓国にサーバを設置すればよい。グーグルの技術なら十分に可能だ」と話した。さらに「グーグルが真っ当な企業であれば進んで税金の納付義務を果たすべき」とし、「ネイバーがグーグルのように振る舞ったとしたら政府や国民が黙っているだろうか」と皮肉った。
グーグルは「世界のどの国でもその国の法を遵守する」と常に強調している。グーグルは韓国で毎年いくら稼ぎ、それによって税金をいくら支払っているかを明らかにしていない。グーグルの論理に従えば、法を遵守しているということだ。グーグルコリアは有限会社だ。現行法によれば、有限会社には売上や利益を公示する義務はない。また、グーグルは韓国にサーバ(サービスに必要なコンピューター装備)を置いていない。これは法的に韓国に事業所がないことを意味する。政府の立場からすれば、売上や利益の実態を知り得ず事業所もないのだから、税金を回収することは難しい。とは言え、グーグルが法を遵守していないと見ることもできない。
グーグルには「悪事を働かない」という経営哲学があるという。グーグルの規模が赤ちゃん恐竜「ドゥーリー」くらいだった頃は、その影が大きくはなかった。しかし、規模が大きくなるにつれ影も拡大し色まで濃くなった。問題は、その影が時として誰かに対して恐怖として迫りかねないことにある。もちろんグーグルは間違ったことはしておらず、法を犯してもいないというだろう。いくつかの本を通じて伝えられている通り、創意と革新を通じて成長し、そして成功しただけだといえる。しかし、米国政府がグーグルの要請を受け入れるよう韓国政府に圧力を加えようとしていることまでは説明できない。
このようなさまざまな理由のために、グーグルが法を遵守し悪事は働いていないという話が素直に聞こえるはずがない。しかし、グーグルは依然としてそれを強調する。また、政府の地図データ国外搬出禁止の措置を「同意できないこと」とし、「必ず解決しなければならないこと」として挙げている。グーグルの「疎通不能」が地図データ搬出の道を狭めているという印象を拭えない。
キム・ジェソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2016-08-25 21:11