中国旅行会社は航空料金だけ払い
観光客1人当たり5万~14万ウォン
韓国企業から“人頭税”払わせる
「お金を払う客を連れていくのだから
ショッピング手数料で費用埋めるべき」
政府、800万目標の量的成長にだけ固執
「中国の旅行会社が遊客(中国人観光客)を集めてきたら、韓国の旅行会社は1人当たり300~400人民元(5万3千~7万1千ウォン=約5千~7千円)ずつ、いわゆる“人頭税”を払わされる。ショッピングを多くする団体観光客を受け入れるためには、1人当たり700~800人民元(12万5千~14万2千ウォン=約1万2千~1万4千円)も払わねばならない」
国内で中国の団体観光客誘致専門旅行会社を運営するK氏は、先月31日にハンギョレ記者に対し、遊客団体観光の大半が、中国の会社にお金を払って遊客を買い入れる「人頭税商品」や、国内旅行費を一銭も受け取らないまま中国人観光客を連れてくる「ノー・ツアー・フィー(No Tour fee)商品」に変質していると打ち明けた。韓中協議により、中国の団体観光は国内で許可された専門旅行会社だけが取り扱うことができる。昨年、韓国を訪れた中国人観光客598万人のうち、団体観光客の割合は41%の245万人で、専門旅行会社の役割はそれだけ重要になる。
しかし現実は、中国の旅行会社が韓国の団体観光商品で最安値水準の1500人民元(26万7千ウォン=約2万6千円)の商品を売ると、中国業者が往復航空料を払って残ったお金をすべて手にするだけでなく、韓国の専門旅行会社から、いわゆる人頭税まで受け取る。韓国企業の立場では、手ぶらの遊客をお金を払って連れてきて宿泊や観光もさせなければならない。K氏は「私たちは免税店や外国人専用記念品店から受け取る『ショッピング手数料』で費用を埋め合わせて儲けるしかない」と話した。
こうした格安観光は、結局は中国人観光客に対するショッピング強要につながるほかない。K氏は「韓国系中国人ガイドを使い、記念品売場の前に行こうとしない観光客に品物を買うように強要したり、それでも買おうとしない人には『品物を買わないなら日程は終了』と午後2~3時に宿に連れていってしまうこともある」と言った。これは韓国の観光競争力を損なう結果につながる。
問題が大きくなると、文化体育観光部は今年2月に「2016年の業務推進計画」を発表し、観光商品の質の管理を強化すると発表した。先月27日、中国の専門旅行会社209社のうち68社を追い出したのは、こうした脈絡による。しかし、政府は今年も中国人観光客の規模を急激に増やす“量的成長”を主要目標にした上、格安観光が量的成長の主要エンジンである点を考慮すると、二兎を得るのは容易ではなさそうだ。これに先立ち文化部は、大統領業務報告で遊客規模を600万人から800万人まで引き上げると公表した状態だ。
中国の旅行会社が遊客を募る主導権を持つ特殊性も、格安観光の構造改善には大きなハードルとなる。中国内で団体観光客を集めて韓国に送りこむ中国の旅行社がノー・ツアー・フィーや人頭税商品を強く求めているだけでなく、彼らに従属的な国内の中国専門旅行会社が市場を主導している。政府が、格安観光に頼る中国人観光客の量的成長を一定水準諦めない限り、観光市場を質的に管理するのは困難な状況にある。
韓国旅行業協会の関係者は「中国の旅行会社に正当な旅行経費を支払おうとする考えは基本的にない。大きな市場を持っている理由で、強圧的な取引をしている」と話した。実際、中国最大の旅行ポータルの「携程(Cトリップ)」のHPを見ると、ソウル・済州3泊4日や4泊5日の旅行商品は2千人民元(35万6千ウォン=約3万5千円)代が多い。これら商品の多くは、ショッピング手数料が40~50%を上回る人参やホッケナム健康食品の護肝宝などを販売するショッピング日程を組んでいる。
このため国内の専門旅行会社はガイドにショッピングの強要を圧迫する。済州島で遊客団体観光の仕事をするガイドのキム氏(54)は「ガイドは旅行会社とショッピング手数料を分け合う形でお金を稼いでいる」、「ガイドから数百万ウォンを超える預置金を受けた後、ショッピングの目標値を達成できなければ罰金を課すこともよくある」と話した。国内の専門旅行会社社員のN氏は「今、格安観光をしたからといってすべて淘汰したら、生き残れる所はあまりない。政府が今年も中国人観光客を800万人誘致するといって、依然として30%前後の急激な量的成長に全力を傾けている以上、体質改善は不可能だ」と話した。
これに対してユン・ヤンス文化部国際観光課長は「段階的に経費基準を上げて会社を淘汰させていく方式により、今後は優良な会社だけに専門旅行会社の事業ができるようにする。中国政府とは局長級実務会議、韓中日観光閣僚会議などを通じて共に対策を用意するよう努力する予定」と話した。
韓国語原文入力:2016-04-03 20:43