韓国政府が環太平洋経済パートナー協定(TPP)に追加で参加することを積極的に検討する方針を明らかにしたことで、農業分野での市場開放拡大による被害が憂慮され始めている。政府はコメ市場の場合は「譲歩対象」から除外させるべきだという意向を明らかにした。
チェ・ギョンファン副首相兼企画財政部長官は6日、企画財政委員会国政監査で今後TPPに参加すればコメ市場が開放されるのではないかという憂慮に対し、「コメは譲歩対象から除外し持続的に保護する方針」と明らかにした。
だがTPP参加国で農業開放に敏感に反応してきた日本は、米国やオーストラリアなどとの両国間交渉で既存関税障壁をかなり除去した。日本は当初、コメ、乳製品、サトウキビなど甘美作物、小麦・麦、牛肉・豚肉を農産物の5大聖域に定め交渉に臨んだが、相当部分を開放したと伝わる。
日本のマスコミ報道などを総合すると、38.5%だった牛肉関税率を、米国に対し協定発表1年目に27.5%引き下げ、15年目には9%まで下げると予想される。豚肉はキロ当たり64.53円未満の低価格の肉の関税をキロ当たり482円まで賦課してきたのを10年かけ50円まで引き下げる。特定品目の輸入が急増すれば緊急輸入制限措置を発動できる「セーフガード」を設置したものの、開放幅が少なくない。ただしコメは高率の関税を撤廃しない代わり、低率関税割当(TRQ)物量を米国に対して発効初年度の5万トンから13年目に7万トンまで拡大でき、ある程度防げた。オーストラリアにはコメの低率関税割当物量を初年度6000トンから13年目に8400トンまで提供することにした。
韓国はTPPに遅れて参加するので、農業ではさらに高いレベルの開放を要求されると憂慮される。特に農業大国のオーストラリア、ニュージーランド、ベトナムなどが1次参加国である状況は、韓国に不利に作用するものと見られる。もちろんTPP参加が日本などで韓国農産物の輸出を拡大する新しい機会になる可能性もある。
しかし、TPP1次参加12カ国に対する韓国の農食品部門輸出額は、輸入の4分の1程度に過ぎない。輸出より輸入が圧倒的に多い中、農業分野での貿易収支赤字である国が多数を占める。韓国の農産物輸出は加工食品比重が高いのに比べ、輸入は穀物、畜産物、乳製品、加工食品など多様な形態である点もTPP参加による国内農家の被害の可能性を高くする。
ソウル大のイム・チョンビン教授(農耕制社会学)は「5大聖域に対し一部市場開放をした日本の事例を考えると、韓国もTPPに参加すれば今より多くの開放を余儀なくされ、米国などすでに自由貿易協定(FTA)を締結した国々も、そこへプラスアルファを要求でき、韓国の農業に打撃が予想される。農業で相対的に競争力がある日本に対し輸出が増えることはあっても全体の被害を相殺するほどにはならない」と話した。
韓国農業経営者中央連合会は6日、声明で「農業で莫大な被害だけでなく、日本に比べ脆弱な自動車部品など製造業の打撃も憂慮されるのに慌てて参加しても実益がない」と主張した。
韓国語原文入力:2015-10-07 21:29