ロッテは韓国企業か、日本企業か? ロッテの兄弟間経営権紛争を契機に、日本で事業を始めて韓国で成長したロッテの“国籍”を巡って再び論議が熱い。
創業者である辛格浩(シン・ギョクホ、重光武雄総括会長は日本国籍を取得したことがない。日本側の経営を務めた長男の辛東主(シン・ドンジュ、重光宏之)前日本ロッテ副会長と、韓国側の経営を務めた次男の辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)韓国ロッテ会長は、一時韓国と日本の国籍を両方有していたが、1990年代以後に日本国籍は捨て韓国国籍だけを持っているという。 問題はグループ支配構造の頂点にあるロッテホールディングスと光潤社が日本法人だという点だ。
韓国ロッテの支配構造の頂点にある会社はホテルロッテだが、ホテルロッテの持分は日本ロッテホールディングスが19.07%、日本ロッテ系列の投資会社が80.21%など、大部分を日本側が持っている。ここに辛東主前日本ロッテ副会長が先月30日に韓国内の報道機関と日本語でインタビューして、父子間の対話や文書に日本語や日本式名前を書いたことも論議に火を付けた。
ロッテの国籍論議はかなり以前から提起されてきた。 日本では韓国人が作った企業とか韓国企業と見る視角がある反面、韓国では韓国で稼いだ金を日本に持って行っているという視角があった。 ロッテグループは「日本ロッテが保有する株式持分にともなう最小限の配当金を支払っているだけで、韓国で得た収益はほとんど100%韓国内で再投資されている」という話で、国籍論議には意味がないと反論する。
資本が利潤を追求して国境を行き来するグローバル時代に、企業の所有構造だけでどの国の企業だと規定するのは難しいという指摘もある。 キム・スンオク中央大経済学部教授は、1月5日に発表した自由経済院企業家研究会報告書で「1994年以後、マクロ経済指標として国民総生産(GNP)を使わず、国内総生産(GDP)を使っている」として、「その理由はどこの国の所有かではなく、どこにあるかが重要なため」と説明する。企業は付加価値を生産し、賃金、株主利益、税金の形態で配分する。 株主の国籍よりは企業が存在している国により多くの付加価値が落ちるのが一般的だ。
実際、ロッテは日本より韓国でより多くの付加価値を生産している。 韓国ロッテは年間売上が83兆ウォン(約8.8兆円)で、系列会社が80社に達する。しかし日本ロッテは2013年基準で年間売上5兆9000億ウォン(約6300億円)、系列会社も37社と知られている。
従業員数も韓国ロッテが格段に多い。韓国ロッテは現在国内外を合わせて18万人だ。 反面、日本ロッテは現在の数値が公開されておらず正確には分からないが2013年基準で約4500人と推定される。
キム・スンオク教授は報告書で「ロッテ全体として見る時、韓国への寄与がはるかに多い」と説明した。
だが、グループ支配構造の頂点にある会社が日本法人だという点は、今後も論議の的として残らざるをえない。 企業が生産した付加価値のうち、相当部分を占める賃金と税金は企業が存在する国家の労働者と政府に戻るが、企業が収めた利潤は株主の持分になり、結局株主の国籍地に移転されやすい。 韓国ロッテが収めた収益を、ロッテホールディングスと日本ロッテ側の投資会社がこれまで配当として持っていかなかったとは言っても、保有株式の価値としては積まれていて、それは日本株主の持分であるためだ。