本文に移動
全体  > 経済

MERSで消費萎縮…韓銀が利下げ

登録:2015-06-11 22:11 修正:2015-06-12 14:30
 10カ月間で4回目の利下げ「年1.5%」に
 急増する家計負債を抑制する安全装置が必要
イ・ジュヨル韓国銀行総裁が11日午前、ソウル・中区の韓国銀行で金融通貨委員会を主宰している。 この日、金融通貨委は基準金利を年1.75%から1.50%に引き下げた=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの感染拡大にともなう景気低迷の憂慮が高まり、韓国銀行が電撃的に基準金利引き下げカードを出した。 今年に入って輸出不振の溝が深まっている状況で、MERSという突発変数により内需まで萎縮する兆しが見え、家計負債が増加する負担にもかかわらず、景気防御のために避けられない選択をしたものと分析される。 韓銀が基準金利引き下げという緊急処方を出しただけに、今後政府が追加補正予算の編成を通じて“はえ縄漁業式景気浮揚”に乗り出すかも注目される。 また、基準金利の引き下げによる弊害を最小化するため、政府が実効性のある家計負債抑制対策を出さなければならないという要求も強まるものと見られる。

韓国銀行基準金利引き下げ推移 //ハンギョレ新聞社

 韓国銀行は11日、イ・ジュヨル総裁主宰で金融通貨委員会本会議を開き、基準金利を年1.75%から1.50%に引き下げた。 3月に史上初の「1%台基準金利時代」を開いた後、僅か3カ月で追加引き下げを行った。 これに先立ち韓銀は昨年8月、10月、今年3月に基準金利を0.25%ずつ引き下げた。 わずか10カ月間で2.50%から1.50%に1%も基準金利を引き下げた。 この日の金融通貨委で、委員7人中の6人が基準金利の引き下げに賛成し、1人は凍結意見を出した。

 今回の基準金利引き下げの決定的背景は、MERS余波による内需沈滞の憂慮だ。 韓国経済のつっかい棒だった輸出が、今年に入って5カ月連続で縮小したが、韓銀はこれまで消費回復指標などを根拠に比較的肯定的な景気判断を維持してきた。 だが、予想外のMERS衝撃に、期待をかけていた内需景気に警告灯が点くと方向を急旋回したと見られる。 イ・ジュヨル総裁は金融通貨委が終わった後の記者会見で、「短期間に景気回復動向をリードしてきた消費がMERSのために悪影響を受けることがほとんど確実になった」として「経済主導者の心理と実物経済活動に及ぼす否定的余波をあらかじめ緩和するには、先制的に対応することが望ましいと判断した」と利下げの背景を説明した。

 実際、先月末から急激に広がったMERSの影響で、海外観光客が入国を取り消し、デパートや大型マートの売上額、クレジットカード承認額も大幅に減った。 今年2分期に入り輸出減少傾向が強まっている上に、MERSによる内需萎縮も現実化していて、韓銀が来月に発表する今年の成長率修正展望値が2%台に下がる可能性も排除できない状況だ。 イ総裁は「下方リスクが高まったのは事実」とし「現在予測可能な範囲で見るならば、4月に展望した数字(成長率3.1%)よりはやや低くなる可能性がある」と述べた。

 韓銀の基準金利引き下げにより、次の関心は政府の追加補正予算編成有無に集中することになった。 イ総裁はこれに関して「追加補正予算編成有無は全面的に政府が判断する事案」とし言葉を慎んだ。 政府も今のところは慎重な反応を見せている。 企画財政部関係者は「必要ならばすべきだが、現在の景気関連指標だけを見た時は、追加補正予算を編成する状況にはないので悩ましい。もう少し見守る」と話した。

 基準金利の引き下げにより、家計負債に対する憂慮はさらに高まっている。過去三回の基準金利引き下げと、政府の不動産担保認定比率(LTV)・総負債償還比率(DTI)規制緩和により、家計負債は急増し1100兆ウォンを超えた。 イ総裁も家計負債の急増に対する憂慮を意識して、「家計負債は現在の総量であっても、増える速度から見れば抑制管理に積極的に乗り出さなければならない時だ。 関係機関と協議して方案を模索していく」と述べている。イム・ジン韓国金融研究院マクロ経済室長は「急速に増加している家計負債に対する安全装置を用意する必要がある」と強調した。

キム・スホン、ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/695573.html 韓国語原文入力:2015-06-11 19:50
訳J.S(1892字)

関連記事